- スーツのボタンの留め方にマナーなんてあるの?くわしく知りたい!
- 何のためにボタンを開けるのかわからない。その理由ってなに?
- 袖についてるボタンは何の意味があるの?
スーツを着用しているときに「相手に失礼だと思い、ボタンを閉じたまま座るけど息苦しい」など、ボタンの留め方について困った経験はないでしょうか。
実はボタンの開ける(閉める)についてはジャケットの種類、ボタンの数、シチュエーションによりマナーとして決められているのです。
この記事ではスーツをさらに着こなすための「アンボタンマナー」と呼ばれるエチケットについて、具体的な例やシチュエーションを交えながらくわしく解説していきます。
立っているときは一番下のボタンを開けておき、座るときはすべてのボタンを開けるのが基本的なマナーです。
そうすることにより着用しているスーツが一番美しく見えるのです。
これまで知らなかったという方はもちろん、ご存じの方も振り返りの意味を込めてぜひ最後までお読みください。
スーツの「アンボタンマナー」は国際的にも知られているルール
「アンボタンマナー」とはスーツを着用したときにどのボタンを開ける(閉める)のかという暗黙のルールです。
「ボタンの開閉ぐらいで大げさな」と思われるかもしれませんが、たとえば商談の場でマナーから外れた着こなしをしていた場合、面と向かって指摘をされることはないかもしれませんが、もしかしたら自分の知らないところで印象が悪くなっているかもしれません。
さらにスーツの耐久性や見栄えにも影響してきますので、ボタンのマナーはぜひ知って実践していただきたい内容です。
まずは座っているとき、立っているときの基本的なマナーについて紹介いたします。
座るときはスーツ(ジャケット)のボタンをすべて開ける
座るときにはスーツ(ジャケット)のボタンをすべて開けてから座るのが基本的なマナーとなっています。
実際にボタンを閉めたまま椅子に座ると苦しいと感じるものです。
まさにその時、スーツにも無理がかかり、ボタンを中心にして見苦しいシワがついてしまいます。
そのような状態を相手に見せるのが失礼にあたるという考えから、ボタンを開けて座るのがマナーとされています。
ボタンを閉めて座ること自体がマナー違反というわけではありませんが、一般的なスーツの場合、やはり座った時にはおなか回りがきつく感じられるかと思います。
さりげなくボタンを開けて座るとスマートな仕草に見えますのでおすすめです。
立っているときは一番下のボタンを除きすべて閉める
立っている場合のボタンはすべて閉めていてもいいんじゃないかと思われがちですが、基本的にはスーツの一番下のボタンを開けるのがマナーとなっています。
一番下のボタンは装飾であるということが理由のひとつではありますが、その他にもジャケットを重ね合わせる位置にボタンがあるということも関係しています。
スーツの裾は人間の行動に合わせてさまざまな動きをする部分です。
ちょうどジャケットの前裾が重なり合う位置にあるボタンを閉めて動いてみるとどうでしょう。
何かモノを取ろうと腕をいっぱいに伸ばしたり、体をひねったりした際にスーツにシワができているのではないでしょうか。
そういったシワをつけないようにするためにも、一番下のボタンは開けておくのがマナーとなっているのです。
それではこういったマナーはどうやって決められたのでしょうか。その理由をスーツの歴史を紐解きながら考えてみましょう。
ジャケットのボタンを開ける理由はスーツの生地が傷むため
スーツの原点は150年以上前にさかのぼります。
当初は現代とは違い、男性たちが談話室などで気楽な会話をするための、丈の短い室内着として生まれました。
それをもとに19世紀後半に現在のスーツの原型がイギリスで生み出され、当初はカジュアルな装いとして、運動着や街着として着用されており、胸のボタンも喉元近くにつけられた第一ボタンのみを閉めていました。
基本的にボタンはジャケットの装飾品だったのです。
20世紀を迎えるころにはビジネス用の衣服として活用をされるようになり、スーツの役割が年代と共に変わっていくのと同調して、その形状やボタンの位置なども変化していきます。
ボタンの位置が現在よりも高い位置につけられていた時代には、ジャケットにシワなどの影響がなかったため、すべてのボタンを閉じて着用していました。
しかし現在では一番下のボタンがジャケットの前裾の重なり合う場所につけられていることが多いため、スーツにシワが寄らないように開けておくようになったのです。
ただし、閉めた方がいいという例外的な場面もあります。
●例えば就活(リクルート)の場合では、面接官によってはボタンのマナーを知らず、ボタンを外している姿を生意気に感じる可能性があるようです。
そういった場合にはマナーに目をつぶってでもボタンを閉めておいたほうがいいかもしれません。
●また女性用スーツの場合は閉じることを前提に作られている場合が多く、基本的にはすべてボタンを閉じます。
しかし着丈の長いジャケットの場合には一番下のボタンを外した方が綺麗に着こなすことができるでしょう。
スーツのボタン数によって開ける位置は変わります
ひとくちにスーツといっても、ジャケットの形状やデザインによりボタンの配置や数はさまざまに異なっています。
現在のビジネススーツではシングルスーツでボタンが3つ縦並びになっているものが一般的ですが、特にシングルスーツとダブルスーツでは同じボタンの数でも留めるかどうかが変わってきます。
この項目ではボタンの数やスーツによってどのボタンを開ける(閉める)のかを具体的にひも解いてみましょう。
スーツのボタンが1つの場合は閉じる
ボタンが1つのスーツ(ジャケット)は現代ではモーニングやタキシードといった最もフォーマルなものやごく一部のビスポークテーラーで仕立てられたものに限られています。
ボタンを閉じることを前提に仕立てられているので、これらのスーツ(ジャケット)では必ず閉じましょう。
フォーマルな席で着用するものですので、服装もしっかりと気をつけたいものです。
ボタンが2つの場合はシングルとダブルで異なる
スーツのジャケットのボタンが2つの場合はシングルスーツとダブルスーツの場合で留め方が異なります。
それぞれのスーツ別に説明していきます。
シングルスーツの場合は下のボタンを開ける
ビジネススーツでは定番と言えるシングルスーツの2つボタンは上のボタンだけを閉じ、下のボタンは開けておくのがマナーです。
ボタンの位置はやや下の方につけられているのが最近の流行で、胸元が縦長に開きシャープな印象になるほか、窮屈さを感じにくくなるのが特徴です。ネクタイやシャツが見えやすくファッションを楽しみやすいのも人気の理由かもしれません。
ダブルスーツの場合は両方のボタンを閉める
ダブルスーツの場合は常に2つとも閉じておくのがマナーとなります。
高い位置に横並びでつけられているため着席していても不自然なシワが出ず、着心地も変わらないことや、逆に開けてしまうとジャケットがだらしなく開いてしまいみっともなくなるためです。
スーツのボタンが3つの場合はその位置によって異なる
ビジネススーツでは定番中の定番であるボタンが縦に3つ並んだシングルスーツでは、基本的に上2つのボタンを閉じ、一番下のボタンを開けるのがマナーとなります。
ただしこれは下襟(ラペル)の下からボタンがついている場合に限ります。
下襟(ラペル)の裏側からボタンがついているものについては、2つ目のボタンのみを閉じ、上下のボタンは開けて着用しましょう。一番上のボタンは飾りとしてつけられているためです。
このタイプは胸元の拘束が少ないため、太り気味の方や胸板が厚い方におすすめのスーツです。
スーツ(ジャケット)のボタンが4つの場合
ボタンが4つの場合にもシングルスーツとダブルスーツで留め方が異なります。
シングルスーツの場合は一番下のボタンを開ける
シングルスーツで4つボタンの場合は上3つのボタンを閉じ、一番下のボタンを開けて着用します。
ボタンが縦並びに4つともなると襟が短くなり、間延びした印象になるためかほとんど見かけることはありませんが、身長の高い方であれば選択肢に入るスーツ(ジャケット)かもしれません。
ダブルスーツの場合はボタンの並び方で留め方が異なる
ダブルスーツの場合は縦に一直線に並ぶ場合と、V字状に並ぶ場合では留め方が異なります。
縦に一直線に並ぶボタンの場合はすべて閉じますが、V字状に並んでいるボタンの場合は下のボタンのみを閉じます。
スーツ(ジャケット)のボタンが6つの場合
ダブルスーツのみに存在する6つボタンは、ボタンの並び方によって閉じるボタンが異なります。
一般的には2番目のボタンのみを閉める、または2番目、3番目のボタンを閉めるのいずれかになります。
直線的にボタンが3つずつ並ぶスーツ(ジャケット)の場合は例外的にすべてのボタンを閉じて着用します。
スーツのベストも一番下を開けるのがマナー
スリーピーススーツなどでベストを着用する場合は、ボタンをどのようにするのがマナーなのでしょうか。
ベストでは一番下のボタンのみを開け、他のボタンは閉めるのが基本です。
ジャケットもボタンを閉めるとしっかりとした印象になりますが、その反面、着ぶくれた印象になってしまう場合もあります。
ベストを着用している場合はジャケットのボタンをすべて外してもマナー違反とはなりませんので、普段は開けておくのがいいかもしれません。
リラックスする場合と商談やプレゼンなど緊張感のある場面で使い分けるのがおすすめです。
詳しい解説はコチラ≫ベストのボタンの留め方や着こなしで紹介していますので、ぜひ参考にしてみてください。
礼服のボタンは数によって開けるか閉じるかを決めましょう
礼服についても着用する服の種類やボタンの数により開ける場合、閉じる場合が決まってきます。
モーニングやタキシードといったボタンが1つしかない服に関しては必ずボタンを閉じます。
喪服のスーツに関してはボタンの数により異なってきます。1つボタンの場合は閉じ、2つボタンの場合は一番下のボタンを外して着用しましょう。
礼服のボタンマナーについての詳しい解説は≫礼服のボタンについての記事を参考にしてみてください。
スーツの袖ボタンはなぜついているのか、その理由を解説
袖のボタンは手袋をつけるのが一般的だった時代には、その着脱のために重宝されていたようです。
しかし現在ではスーツ(ジャケット)の飾りとなっており、また個数についてもルールは特になく、全く付けないものから5つぐらいまでデザインにより異なっています。
ボタンの並ぶ間隔も、開いているもの、隣接しているもの、重なり合っているものに大きく分類をされます。
一般的なのはボタンが隣接しているものですが、重なりあっているものは装飾として強調される際に用いられることがあります。
袖のボタンについての詳しい解説は≫袖ボタンについての記事を参考にしてみてください。
スーツのボタンの付け方(縫い方)を紹介
ボタンは日常動作でうっかりどこかにひっかけて糸を切ってしまうなど、取れてしまいがちな部分です。
商談の前やお出かけの時など、ボタンが取れてしまったジャケットではだらしなく見えてしまうかもしれません。
ボタンが緩んでいたり、糸がほつれたりしている場合もできるだけ早めに縫い直すのがおすすめです。
コンビニなどでも販売されている携帯用のソーイングセットでもしっかりと縫うことができますので、日ごろから持ち歩いてはいかがでしょうか。
ボタンをスーツに縫う際に気を付ける点として、生地の色と同じ色の糸を使用するのが決まりとなっています。
全く同じ色がない場合でも、できるだけ似た色を使用しましょう。
詳しいボタンの縫い方については≫スーツのボタンの付け方についてを参考にしてみてください。
ボタンマナーはスーツの着こなしにも深くかかわっています
この記事ではスーツのボタンについて、着用時のマナーやつけられている意味などについてくわしく解説してきました。
ボタンの開け閉めについてのマナーはボタンの数や着用するシーンにより異なってきます。
- スーツのボタンは見苦しいシワなどができないように着用マナーが決められている
- 基本的に立っているときには一番下のボタンは開け、着席時にはすべてのボタンを開ける
- ボタンの数によって開けるボタンの位置は異なる
ボタンのマナーはスーツが一番綺麗にみえるように考えられていますので、ぜひ取り入れてビジネスシーンなどで活用していただければ幸いです。