こんにちは。
榮屋本舗の代表・伊藤です。
人間は慣れる生き物です。
大手による工業化の末、
画一的なデザインのマシンメイドスーツが、
大量につくられるようになります。
それはクオリティも決して悪くはなく、
価格もそれなりに手の届く範囲に抑えられ、
世間に広く浸透していきました。
こうした流れに対して、
最初はありがたがっていた消費者も、
しだいにそれが当たり前になっていきます。
すると、
画一的なスーツでは飽き足らなくなり、
なにか別の魅力を求めるようになるのです。
これは、
なにもスーツに限ったことではなく、
たとえば、最近の携帯電話などでもそうですね。
メールやインターネット、カメラなど、
最初は革新的だった機能も
どの製品にも当たり前のように搭載されると、
今度は、それ以外のもの、魅力が求められます。
そういった声に素早く対応できるよう
業界は”技術ロードマップ”というものに沿って
新たなテクノロジーを付加した
新製品を市場に投入していきます。
ここでやっかいなのは、
なにも技術を突き詰めたものだけが望まれるわけではなく、
人の需要にはバリエーションがあるということです。
携帯電話を例にすると、
余計なインターネット機能などは排除し、
本来の電話だけに特化した携帯電話を求めたりとか、
携帯電話自体のデザイン性を追求するとか、
ほかにはない魅力を求め、需要は多様化していくのです。
話をスーツに戻しますと、
マシンメイドで標準化されたスーツも、
本来であれば製造の効率化やコストダウン方向へと
市場が進んでいくと見られていました。
しかし、消費者から求められたのは、
本来のスーツにあった”手づくり感”だったのです。
あらかじめ用意された型紙に合わせ
マシンを使って縫われたスーツよりも、
自分の体形に合わせて採寸をし、
職人が心を込めて一針一針丁寧に仕上げたスーツを着てみたい。
たとえそれが高価であっても、
自分だけのために仕立てたスーツに袖を通したい。
右を見ても左を見ても
同じデザイン、パターンのスーツばかりという光景に
違和感を覚えたのでしょうか?
いずれにせよ、
そういった声があがるようになり
再びスーツのあり方、サルトリアのあり方が変わってきました。
というところで、次回に続きます。
チャオ(*^-゚)/~Ciao!