- スーツに虫食いが!修理は自分でできるの?
- 虫食いの穴ができる原因は?
- 自分でできる一番簡単な補修方法とは?
久しぶりに着ようと思ったスーツに穴が!もしかして虫食い?
このような経験のある方は少なくありません。
引っ掛けで開いた穴なのか、虫食いのなのか、はっきりしないことも多いのですが、どちらにしても見栄えは悪いものです。
穴の開いたスーツの修理をプロに頼むことはおすすめですが、ちょっとの穴なら自分で修理することもできるんです!
この記事では、スーツ・ビジネススーツの「虫食い」「焦げ穴」などの小さな穴を自分で修理する方法をくわしく解説します。
虫食いの主な補修方法
- アイロン補修シートを使う
- 共布(スーツと同じ生地)を使う
修理にはいくつかの方法があり、難易度が高いものほど上手くいけばとてもキレイに仕上がります。
キレイに仕上げるためには時間も労力も必要で、特に薄手のスーツの場合、繊維の糸がとても細くキレイに仕上げるのは難しくなります。
難易度と修理手順を見ながら自分にあった修理方法を試してみてください。
自分での修理は自己責任になるため、慎重に検討しましょう。
アイロン補修 シート | かがり縫い (共布) | ミシン刺し (共布) | かけはぎ (糸) | かけはぎ (共布) | |
---|---|---|---|---|---|
難易度 | ★☆☆☆☆ | ★★☆☆☆ | ★★★☆☆ | ★★★★☆ | ★★★★★ |
仕上がり | △ | 〇 | 〇 | ◎ | ◎ |
強度 | △ | 〇 | ◎ | 〇 | 〇 |
薄手の生地 | 〇 | 〇 | 〇 | △ | △ |
スーツの破れの修理や、修理に使う道具の解説はこちら≫スーツの破れの修理方法の記事で紹介していますので、チェックしてみてください。
スーツの虫食い修理を自分でできるか、判断のポイントを解説
スーツに虫食いで穴が開いた時、どこかに依頼しようと思いながら、気が付いたらシーズンが変わってしまったということもあると思います。
自分で補修することで、いつでも気の向いた時に修理することができ、より長くスーツを着ることができます。
虫食いはどうして起こるのか
虫食いは、衣類害虫の幼虫(カツオブシムシ・イガなど)が衣類を食べることでおこります。
繊維やたんぱく質を好んで食べる衣類害虫ですが、ウール・カシミヤ・シルクなどの動物性繊維をとくに好んで食べるので、高級な衣類ほど被害にあいやすいのです。
適度な温度と湿度を好む衣類害虫にとって、クローゼットや収納は衣類害虫にとって快適な空間となります。
衣類害虫は衣類や植物に付着して外部から家の中へ侵入してくるので、『これまで大丈夫だったから』と予防を怠ると突然被害にあうこともあります。
破れと虫食いの違い
破れと虫食いは同じようで、実は補修するという点では違いがあります。
- 破れは、引っ張られておこることが多く、破れの周りの生地がほつれ広範囲に被害が及びやすい
- 虫食いは、繊維の糸がプツリと切れたように起こることが多く、被害が小さいことが多い
虫食いの性質上、同じ衣類に数か所の穴が確認されることも多く、小さいけれど複数確認されるということが破れとの違いです。
虫食いは『破れ』と比べると
- 周辺の生地に影響がない
- 穴が小さい
というポイントで修理がしやすくなります。
これから補修に挑戦する方は、『虫食いの穴』の修理から始めることをオススメします。
虫食いの穴は自分で修理できる
- 500円~1,000円ほどで必要な材料が用意でき、かんたんに補修できることが多い
- プロの補修と比較すると、補修部分の仕上がりが目立つことがある
スーツの裏側が複雑であったり、裏地がある場合は難易度が上がりますが、基本的に虫食いの穴は自己修理が可能です。
小さな虫食いの穴であれば、裁縫が苦手な方でもある程度は目立たなくすることができるので、挑戦してみてはいかかでしょうか。
自分で補修する場合の判断のポイント
- 周辺の生地に影響がない
- 虫食いの穴が小さい
- 虫食いの穴の数が少ない
- ポケットの縁など、補修しにくい場所ではないか
虫食い被害が酷い場合、近い距離に複数の虫食い穴があったり、1つのスーツに20か所以上の虫食い穴があることがあります。
虫食い穴がつながったように大きくなっていることもあるため、被害がひどいスーツは仕上がっても補修跡だらけになってしまい、着心地も悪くなるため、自己補修では難しくなります。
被害がひどいけれど補修したいという場合は、表面・裏面ともにキレイな仕上げをしてくれるプロに依頼することをおすすめします。
スーツの破れ修理を自分で【簡単な方法】
応急処置の参考にもなる、虫食い穴を修理するための簡単な方法を解説します。
簡単ではありますが、補修箇所によっては目立つことがあり、長期間の使用でアイロン補修シートがはがれることがあります。
アイロン補修テープ【難易度1】
生地の裏からアイロンで接着する補修テープを貼る方法です。
アイロン補修シートの色がスーツに合うか、で目立ちにくさが決まります。
ほつれ部分を大きく切りすぎないことがポイントです。
アイロン補修シートの作業手順
- 切れた糸・ほつれた糸を切って目を整えて両面にアイロンをかける
- 穴部分よりひと回り大きく切った補修テープ(シート)を裏からアイロンで接着する
(角を丸く切っておくとはがれにくい)
アイロン加熱の温度が下がってから表に返す
完全に冷めるまで触らないでおくと、はがれにくい
かがり縫い【難易度2】
スーツの虫食い修理を自分でする場合、共布を使う方法がキレイな仕上がりになるのでオススメです。
『かがり縫い』は共布(補修布)を使い、手縫いで共布を固定する方法です。
破れや虫食いの修理方法として一般的な方法ですが、共布が無ければ、裾の折り返し部分などを裁断して使用します。
かがり縫いの作業手順
- 切れた糸・ほつれた糸をカットする
- 共布の柄を合わせてアイロン接着シートを使って裏面に接着する
- 修理部分と似た色の糸を1本取りで針に通し、裏から針を通して穴の縁をかがり縫いする
- 1周縫い終わったら少し離れたところをもう1周縫う
縫い方は「星どめ」にすると生地がより密着する - 全て縫い終わったら裏で玉どめして仕上げる
修理部分と似た色の糸を使う
2周目の縫い方は「星どめ」がおすすめ
100均材料でも修理できる
スーツの虫食い修理を自分でする場合。100円ショップの材料はつかえるのでしょうか。
100円ショップは手芸店より身近な存在になっていますが、100円ショップの手芸道具を使っても、穴の補修をすることができます。
アイロン補修シートやアイロン接着シートを購入し、解説した内容と同じように作業していきます。
一般的な手芸店に比べると品揃えは少ないですが、色や用途が合えば十分使用できるので、状況に応じて選んでみてはいかがでしょうか。
スーツの破れ修理を自分で【難易度の高い方法】
技術がある程度必要で、やや時間がかかる方法ですが、見た目も強度もある補修ができます。
ぜひ試してみてください。
ミシン刺し【難易度3】
スーツの虫食い修理で使う共布がない場合でも、糸の色によっては目立ちにくくもできる方法です。
共布(補修布)をミシンで縫込みながら固定する方法で、スーツに合った色の糸を選ぶことがポイントです。
ミシン刺しの作業手順
- 切れた糸・ほつれた糸をすべてカットする
- 共布の柄を合わせてアイロン接着シートを使って裏面に接着する
- 表に穴から5mm程度の位置にチャコペンなどで印をつける
- ミシンの針目を1.5くらいの小さい縫い目に設定して、印を目印にしながらコの字になるようにミシンをかけていく
- 上糸を裏に引き出し、下糸と結んで処理する(難しければ返し縫いでもOK)
ミシンの針目は1.5くらいにする
かけつぎ・かけはぎ(糸)【難易度4】
スーツの虫食いを直す場合、かけつぎ(かけはぎ)という方法があります。
布を使う場合と、糸を使う場合がありますが、ここで解説するのは『糸』を使った方法です。
裏側の折り返し部分や共布から繊維の糸を抜き、補修部分に織り込む方法です。
時間がかかりますが、うまくできれば自然に仕上がります。
かけはぎ(かけつぎ)は、ウールなど厚手のスーツは繊維の糸が太く作業しやすいのですが、薄手の生地では非常に難しくなるので注意が必要です。
針の後ろなどを使い、糸を引き出します。
糸を抜いた部分は、ほつれないように処理が必要です。
かけはぎ(糸)の作業手順
- 切れた糸・ほつれた糸をすべてカットする
- 生地を固定する(平らで硬いものに固定できればOK)
- たて糸・よこ糸で色が違う場合は、注意しながら織り込んでいく
針に糸を通して輪を作り、繊維の糸を引き込むと作業しやすい - 糸を引き繊維の目地を整えてから、裏に糸を引き出しカットする
(裏地などで裏の処理ができない場合は、表で丁寧に糸を切ってもOK) - ひと回り大きく切ったアイロン補修シートを裏面に接着する
(ほつれ止め液を使ってもよいが、生地が固くなる)
針に糸を通して輪を作り、繊維の糸を引き込むと作業しやすい
かけはぎ・かけつぎ(共布)【難易度5】
共布の生地をダメージ部分に織り込んでいく方法です。
生地の柄を合わせ、柄の合う位置に針を通すため、非常に細かい作業になります。
時間をかけても、かけつぎの専門店ほどキレイに仕上げることは難しく、特に薄手の生地は糸が細いため難しくなります。
かけはぎ(糸)の作業手順
- ほつれ部分から5mm程度の位置にチャコペンで印をつける
(極細や細いタイプのチャコペンがおすすめ) - 共布にも①と同じ位置に印をつけて、柄の合う位置に注意しながら真っすぐに織り込んでいく
針に糸を通して輪を作り、繊維の糸を引き込むと作業しやすい - 糸を四方から引き、柄が合うように繊維の目地を整える
- 裏に糸を引き出し、5mm~1cm程度残してカットする
- ひと回り大きく切ったアイロン補修シートを裏面に接着する
針に糸を通して輪を作り、繊維の糸を引き込むと作業しやすい
こげ穴の補修方法について
虫食いと同じように、周りの繊維に影響がなく、穴があく事例で「こげ穴」があります。
火の粉やタバコの影響でこげてしまったり、職種によっては就業中にこげによる穴があいてしまうことがあるかもしれません。
こげ穴の補修は基本的にここまで解説してきた方法で問題ありませんが、損傷部の周りがこげているので、こげ部分を切り取ってから補修する必要があります。
虫食いより穴が大きくなるため、かがり縫いやミシン刺しがおすすめです。
虫食いに気付いたら早めに補修を!防虫対策も忘れずに
虫食いの穴はすぐに補修できることが多いので、気付いた時に早めに補修をしましょう。
スーツにも流行があったり、着る人の体形の変化などもあるため、着れる時期にたくさん着ることが「スーツを大切にする」ことにつながります。
- 簡単に直せるのは【アイロン補修テープ】
- 見立たず、こげ穴にもオススメするのは【かがり縫い】【ミシン刺し】
- キレイな仕上がりに挑戦するには【かけはぎ(かけつぎ)】
お直しも大切ですが、やはり一度被害が出た場合は防虫対策についても考える必要があります。
防虫剤やスーツカバーの見直し、クローゼットの湿度調整や清掃などの対策をして、大切なスーツを衣類害虫の被害から守りましょう。