- スーツのズボンのポケットが破れてしまった。普通の縫い方で直せるの?
- かんたんな修理方法がある?
- ポケットの破れには原因があるって本当?破れないようにするには?
ポケットが破れてしまうと、小物がズボンの中に落ちてしまい、とても不便です。
すぐに直したいけれど、修理できるお店を探すのが大変…と思っていませんか?
実は、ポケットの破れは自分で修理できる場合が多いのです。
この記事では、ポケットの破れを修理するのに適した縫い方から、キレイに仕上がる修理方法までくわしく解説します。
外から見えにくいポケットの修理は、裁縫・お直し初心者の方にもオススメです。
この記事を参考に修理に挑戦してみてはいかがでしょうか。
ポケットの内部(外から見えない部分)の破れ
- ポケット内部はシンプルな生地が多く修理しやすい
- アイロン補修シート
- 似た色の新しい生地でポケットを継ぐ
ポケット外部(外から見える部分)の破れ
- 構造が複雑で、強度も必要になるため自己修理は難しい
- ミシン刺し
- かけはぎ
ポケット以外のスーツの破れや、ポケット外部の修理方法はこちら≫スーツの破れの修理方法の記事で紹介していますので、チェックしてみてください。
スーツのズボンポケットが破れる原因と修理
ポケットの破れた部分を見てみると、ほつれ・生地の摩擦で起こっていることがほとんどです。
ほつれは糸が切れてしまうことで起こり、摩擦はポケットに物を入れて動くことで生地が擦れて起こります。
どういった物がポケット破れの原因につながるのでしょうか。
携帯電話などは底部分・ふちに負担がかかる
ポケットに負担がかかり、よく入れられているものと言えば、携帯電話や財布・鍵などの貴重品です。
すぐに出し入れしたい、身につけておきたいという心理からポケットに入れられますが、貴重品は重さがあり、ポケットに入れたまま行動するとポケットの底や入口(ふち)に部分的に負担がかかります。
出し入れの頻度が多いことも生地を傷める原因になるため、『いつも入れている』という方は生地が傷んでいないかチェックしてみたほうがいいかもしれません。
破れ方と破れた位置で補修方法が決まる
ズボンポケットの破れに適した縫い方や修理を解説する前に、まずは破れ方と破れた位置で『自分で修理できるか』を見極めます。
ポケット内部であれば、自分で修理できることが多いのですが、ポケットの入り口などの外部は、構造も複雑で、自分での修理は難しくなります。
裂けたように破れ、生地の痛みが激しい場合はさらに修理が難しくなります。
『ポケット』といっても内部と外部では修理の難易度に大きな差があることを理解した上で、修理を検討しましょう。
他の修理と同じく、自己責任になるので大切なスーツの修理は特に慎重に判断してください。
スーツのズボンポケットの内側が破れたら
スーツ(ズボン)のポケットの破れに適した縫い方や、位置にもよりますが、かんたんにできる修理方法を解説します。
多くの修理方法が考えられますが、代表的な方法を解説するので参考にしてください。
基本の縫い方(半返し縫い)
ポケットのほつれ・補修は、ミシンも使えますが、手縫いでも作業ができます。
縫い方は並縫いではなく、半返し縫いがオススメです。
半返し縫いの縫い方
- ひと針すくってから、針目の半分の位置に針を戻して入れる(①・②)
- 1.5針先に出す(③)
- 針目の半分の位置(③と①の間)に針を戻して入れる(④)
- 1.5針先に出す(⑤)
※繰り返す
半返し縫いは、生地が波打たず、糸が生地を密着させるので小さな物も落ちにくくなります。
初めは難しく感じるかもしれませんが、慣れてくると同じ作業の繰り返しなので簡単です。
生地を折って縫う(応急処置)
ポケットの底が破れたら、生地を折って縫うの方法が一番簡単です。
しっかりアイロンをかけることで、生地が重なって厚くなった部分が目立ちにくくなります。
折って縫う場合の作業手順
- 生地を折ってアイロンをかける
- 折った部分を囲うように半返し縫いで縫う
縫う部分の生地がしっかりしている必要があるため、生地の強度をみながら折る位置を決める
破れ部分を切って別の生地で継ぐ
ポケットの穴・破れ部分を切り、別生地で補修する方法(ミシン使用)です。
別生地で継ぐこの方法は、破れが大きい場合や、生地が薄くなっている場合に有効な修理方法です。
ポケットの大きさも変わらずに使うことができますが、ポケットはミシンで縫うには小さく、裁縫に慣れていないと難しい方法です。
作業工程に決まったものはなく、ほつれないようにしっかりと生地が継がれていれば、手順が多少違っても問題はありません。
ポケットの継ぎを検討している方は参考にしてみてください。
別の生地で継ぐ場合の作業手順(袋縫い)
- 縫い代を残して破れ部分を切り、切り目から3㎝ほど糸をほどいておく
- 別の生地を中表にして2枚重ね、縫い代をとって2枚重ねたまま裁断する
- ポケットの内側が表にくるようにひっくり返して、内側にくる生地を中表にして仕上がり線で縫い、アイロンで縫い代を割る
- 折り伏せ縫いで継ぎ目の処理をする
- ポケットの内側が表にくるようにひっくり返して、袋縫いするために縫う
- 元のポケットを参考に、ポケットを返して縫いあげる
生地に余裕があれば、折り伏せ縫いのために継ぎ目の縫い代は1.5㎝ほどとる
継ぎ目の縫い代は①でとった縫い代と同じ長さにする(その他の縫い代は1㎝ほどでOK)
ポケットの内側が表にくるようにひっくり返し、生地を中表にして継ぎ目の仕上がり線で縫う
※左右にずれやすいので、仮止めテープなどを使って慎重に作業する
ポケットの外側が表にくるよう返して、縫い代を開く(割る)
片方の縫い代を半分ほどに切り、長い方の縫い代を折りこみながら倒す
倒した縫い代をポケットの生地に縫いつける(折り伏せ縫い)
ポケットの内側が表にくるようにひっくり返し、生地を重ねて仕上がり線を目安に縫う
袋縫いをしてはみ出すようなら、縫い目から0.5㎝ほど残して両面の生地(耳)を切る
アイロンで整え、①でほどいた縫い目の上から囲うように縫う
ポケットの縁がバイアステープの場合
- バイアステープをほどき、③④の折り伏せ縫いを参考にして生地を継ぐ
- 端の処理はバイアステープを流用して縫うとキレイに納まる
補修シートを使う
スーツ(ズボン)のポケットが破れ、縫い方さえ難しく感じた場合は、アイロン補修シートを使うという方法があります。
ポケット内部でも、生地が薄いスーツの場合は色が透けることもあるので、奇抜な色の補修シートは選ばないようにしましょう。
破れ部分が大きい場合や広範囲で生地が薄くなっている場合はアイロン接着のゼッケンでも代用できます。
生地や接着剤の材質も補修シートとゼッケンでは異なるため、やや硬く感じることもありますが、ポケット内部の補修には問題なく使えます。
アイロン接着シートでの作業手順
- 破れよりひと回り大きくカットした2枚の補修シートを内側と外側から挟む(接着面は内側にする)
- アイロン接着シートの取り扱い説明書を参考にしてアイロンで接着する
破れた生地は整え、毛玉などは取り除いておく
接着シートは大きめに、角は丸くカットしたほうがはがれにくい(接着面は内側にくるように注意する)
アイロン接着シートの取り扱い説明書を参考して、アイロンで接着する
生地が冷めるまで触らない
100円均一の材料でも修理ができる
スーツのズボンポケットが破れ、縫い方も難しい。
100円ショップでお金をかけずに修理したい。
そういった場合でもできる方法があります。
100円ショップで販売している補修シートやアイロン接着のゼッケンでも、手芸店で購入するアイロン補修シートと同じ方法で修理ができます。
100円ショップで購入する材料のほうがサイズが小さかったり、枚数が少ないことがあるので必要なサイズが確保できるか確認してから購入してください。
薄手の補修シートも販売していますが、薄手の記載がある補修シートはポケット内部には不向きです。
サイズと合わせて注意して購入してください。
スーツのズボンポケットの外側が破れたら
スーツ(ズボン)のポケットが破れたときの、縫い方・修理を解説しましたが、ふちやポケット入口が破れた場合はどうすればよいのでしょうか。
かけつぎやミシン刺しで直す
スーツ(ズボン)ポケットの破れが外部の場合、縫い方・修理の解説は「ほつれ」がある場しか生かすことができません。
この記事で解説した、半返し縫いやアイロン接着シートではなく、虫食いや破れの修理で解説した方法で修理する必要があります。
その中でも、自分で修理をするなら、強度のある修理ができるかけつぎやミシン刺しでの修理がおすすめです。
着用シーンによってはポケット周辺はジャケットやスーツの上着で隠れることもあるので、多少キレイにできなくても、自分で修理してみることもいいかもしれません。
ポケットのふちの場合は生地の裏からの処理も難しく、かけつぎ・ミシン刺しは解説した記事内容からアレンジが必要になるので、難易度は高くなります。
お直しのプロに依頼する
ズボンポケットの外部が破れ、縫い方や修理の解説で解決するのは難しい場合、値段はかかりますが、やはりプロに任せたほうがいいでしょう。
オーダーで仕立てたスーツは購入した店でお直しができることもありますが、大手販売店や量販店で購入したスーツの場合は、洋服の仕立て・お直し業を行う店へ依頼しましょう。
プロの仕立て、お直し店に依頼する場合の注意
- 価格は状況に応じてかわるため、見積をしないと分からない
- 修理には日数がかかり、1ヶ月ほどかかることもある
- プロでも難しい場所なので、補修の跡が目立つことがある
大切なスーツを長く着用するためのポイント
スーツは修理ができますが、手間も時間もかかります。
修理の失敗によって、使い続けることができなくなる可能性もあります。
スーツを長く着るためには破れの予防がとても大切です。
同じスーツの連続着用を避ける
ポケットの破れは、生地の摩擦でおこることも多いのですが、毎日同じスーツを着続けることで生地の同じ場所へ負担がかかり、破れにつながります。
スーツを長く着用するためには複数のスーツでローテーションさせ、スーツを休ませることが大切です。
生地が薄くなっている部分やほつれている部分を見つけると、破れが起こる前に補強ができるので、休ませたスーツをチェックすることも行いましょう。
『ポケットに入れる』ことを見直す
男性はとくに、携帯や財布をポケットに入れる方が多い傾向にあります。
ポケットに入れたまま座ったり、立ったりを繰り返すとどうしても摩擦で生地が傷んできます。
スーツのことを考えると、ポケットに重さのあるものや硬いものを入れる習慣は極力見直したほうがいいといえます。
ポケットの修理はできるが、破れの予防も大切
ポケットには修理しやすい部分と修理しにくい部分があり、プロに依頼しないと解決できないこともあります。
破れてしまった場合は修理の検討が必要ですが、破れを予防することがスーツを長く着るために重要になってきます。
- ポケットは内部(内側)であれば自分で修理ができることが多い
- 手縫い・ミシン・アイロン補修シートなどの方法がある
- 破れを予防するために、同じスーツの連続着用を避け、『ポケットに入れる』ことを見直す
破れてしまったポケットは、できる方法で修理に挑戦してみてください。
スーツだけでなく、他の衣類のポケットも同じ方法で直せるので一度経験しておくと、次回の直しはもっと簡単です。
そして、破れの原因が分かっている場合は、破れを予防できるように着用方法を見直してみましょう。