- オーダースーツは高い?予算や年代に適した選び方を知りたい!
- オーダースーツの流れや注文してから受け取るまでの期間を知りたい!
- わざわざオーダーメイドでスーツを作るメリットはあるの?
オーダースーツと聞くと、値段がとても高く面倒臭いというイメージが一般的かもしれません。
しかしスーツのプロでもあるテーラーの立場から言わせてもらえば、それは大きな”誤解”です。
オーダースーツとは予算や用途はもちろん、年齢やスタイルに合わせた「自分にとって最適なスーツ」を買い求めるなら最もコスパが良い購入手段だと言えます。
この記事では、皆様が抱くオーダースーツに関する間違った先入観を払拭すると共に、オーダースーツで失敗しないための店選びや注文時のポイントを詳しく解説します。
既製品のスーツがダメだとは言いませんが、世界でたった1着の「自分のためだけにあつらえたスーツ」の着心地は最高です。
この記事を読んで、最高の着心地のスーツを作る人や検討する人が少しでも増えてくれたら幸いです。
オーダースーツとは
オーダースーツとは、採寸を行って自分の体型やスタイルに合わせて作るスーツ全般を意味します。
対義語となるのが既製品(既製服)で、こちらは段階的なサイズごとに作られて販売されているスーツ全般のことです。
初めてオーダースーツを作ってみようかな?という方は、値段だけで判断して安く作れるお店を選んでしまいがちですが、実は一口にオーダースーツと言っても種類によって仕上がりに差が出てしまいます。
まずはオーダースーツの基本とメリット・デメリットについて知っておきましょう。
スーツの採寸については、過去記事で詳しく解説しているので合わせて目を通しておくと理解が深まるのでおすすめです。
オーダースーツの種類
オーダースーツ、つまり採寸をしてスーツを仕立てる方法には以下の3種類があります。
- パターンオーダー
- イージーオーダー
- フルオーダー
いずれも”オーダー”という呼称のため、どれも同じ・・と一括りに考えてしまいがちですが中身は全く違います。
基本的に、スーツの仕上がりや着心地だけで優劣を付けるなら
パターンオーダー < イージーオーダー < フルオーダー
単純にこのような認識で間違いありません。
ただし価格という観点でみればパターンオーダーが最も安く、フルオーダーともなれば料金も高くなるので予算と仕上がりのバランスを考えて仕立て方を慎重に選ぶことが大切です。
それぞれについてもう少し詳しく解説していきましょう。
パターンオーダーは安価だが調整幅が極めて狭い
パターンオーダー・パターンメイド・サイズオーダーなど、店舗が差別化するために独自の呼び方をする場合がありますが、型紙(パターン)を調整するだけという点ではどれも同じ仕立て方です。
購入前の採寸でご購入者の体型に最も近いサイズの型紙を合わせ、裾合わせや丈合わせなどで調整して仕立てるのがパターンオーダーと呼ばれる方法です。
オーダーと言いつつも、調整できる部位や範囲が非常に少ないので既製品と比べて着心地が劇的に変わることは無いと言えるでしょう。
メリットとしては、オーダースーツの中では価格が安いという点と仕上がり日数が短いことが挙げられます。
具体的に言うと仕立て料金は2~6万円ほどが相場で、仕上がりまでの期間も2週間~3週間程度となっています。
イージーオーダーは仕上がりと価格のバランスは良いが限界もある
イージーオーダーは、前述のパターンオーダーと後述するフルオーダーの中間とも呼べるシステムです。
ゲージ服と呼ばれるサンプルスーツを軸に、肩幅や袖の長さなど主要な部分をメジャーで採寸してお客様の体型に沿ったスーツ作りをする方法がイージーオーダーと呼ばれます。
フルオーダーとの違いは、採寸箇所の細やかさが大きな相違点です。
イージーオーダーの場合、ロングメジャー方式と呼ばれる主要箇所のみの採寸を基にスーツを仕立てていきます。
もちろんパターンオーダーに比べれば仕上がりのフィット感は段違いで、価格も抑えられているのでバランスが良く選びやすいオーダーシステムだと言えるでしょう。
しかし取扱い店舗が多く、店選びが非常に難しいという点がデメリットとして挙げられます。
イージーオーダーと表現しておきながら、実態はパターンオーダーとほとんど変わらないシステムで仕立てるお店などもあるため、スーツを作る工程などをよく確認して採寸や仕立て方に問題がないお店を選ぶようにしましょう。
フルオーダーなら”自分だけの1着”が仕立てられる
フルオーダーの仕上がりは、3種類の方法で最も優れていることは疑う余地がありません。
イージーオーダーがロングメジャー方式を採用しているのに対し、フルオーダーの場合はショートメジャー方式と呼ばれる細やかな採寸が行われます。
またフルオーダーの場合は、ハンドメイド(手縫い)の工程によって機械では出せない身体の丸みにも対応したフィット感を出せる点も大きな違いです。
すべてをハンドメイドで行うフルオーダーは高額ですが、マシンメイドとハンドメイドを工程に応じて使い分けて価格を抑えた手法が主流となっています。
自分史上最高のスーツを仕立てたい!というときは、迷わずフルオーダーを選択するべきでしょう。
オーダースーツ注文から受け取りまでの流れ
初めてオーダースーツを仕立てるという場合、注文してから出来上がりまでの流れを把握しておきたいものです。
既製品のスーツを購入する場合なら、お店でサイズの合うスーツを選べばすぐに受け取ることが出来ますが、オーダースーツの場合は即日という訳にはいきません。
パターンオーダーやイージーオーダーなら最低でも2回、仮縫い付のフルオーダーなら3回お店に足を運ぶ必要があります。
1回目はカウンセリング~スーツ選び
オーダースーツを仕立てるときは、1回目にお店へ足を運んだタイミングで「どんなスーツを作るのか?」をテーラー店員と共に決めていく流れとなります。
初回は決めなければならないことが多く、店舗にもよりますが最低でも30分~1時間はかかるので、事前に予約などをして余裕をもったスケジューリングでお店に足を運ぶようにしましょう。
- テーラー店員によるカウンセリング(予算や用途、着用シーンなど)
- スーツ生地を選ぶ
- スーツのデザインを選ぶ
- 採寸やフィッティング
- 裏地やボタンなど細かい部分を選ぶ
パターンオーダーやイージーオーダーなど、仮縫い工程が無いオーダーシステムの場合は初回ですべてが決まります。
とはいえ、何を選べば良いのか迷ったときはテーラー店員が適切なアドバイスをしてくれますので、不安や疑問をそのままにせず気になることはしっかり質問しながら方針を決めるのがポイントです。
2回目で受け渡しor仮縫いで最終調整
仮縫いが無いオーダーシステムなら、2回目が受け渡しのタイミングとなります。
仮縫い付のフルオーダーなら、仮縫いが終わったときに再度フィッティングを行い最終調整を行うのが2回目です。
この1工程が面倒だと思うかもしれませんが、実は仮縫いが終わったタイミングで改めてフィッティングを行い微調整をすることで、着心地やフィット感に大きな差が生まれます。
「オーダースーツを作ったのに着心地がそれほどよくない」
「実際に着てみたらキツい部分や動きにくい部分が気になった」
せっかくオーダースーツを仕立てたのに、このような感想や意見を耳にする理由の一つが仮縫いでの微調整を施さないからに他なりません。
フルオーダーは高額で時間がかかるのは確かですが、着心地やフィット感を大事にするのであれば仮縫い付のオーダーシステムを展開しているお店で仕立てるのが最善策です。
仮縫い付オーダーシステムなら3回目に受け渡し
仮縫いでのフィッティングがある場合なら、3回目に足を運んだときがスーツの受け渡しのタイミングとなります。
工程として1手間多い仮縫い付のフルオーダーですが、他の仕立て方と比べて仕上がりまでの期間がどれくらい異なるのかを詳しく解説していきましょう。
仕上がりまでの期間
既製品と変わらない型紙(パターン)から作るスーツと、お客様の体型を細かく採寸して調整を施しながら作るスーツとでは、工数や手間が段違いなので仕上がり期間にも大きな差が生じます。
最も工数が少なく仕上がりまでの期間が早いのはパターンオーダーで、店舗によって多少の前後はありますがおよそ2~3週間もあれば完成して受け渡し可能となるのが一般的です。
イージーオーダーは主要部位のパーツを調整しながら仕立てるため、3週間~1か月程度での受け渡しとなり、若干ですがパターンオーダーよりは時間がかかります。
しかしフルオーダーの場合は、前述の”仮縫い”が終わりフィッティングを行う時点でおよそ1か月が経過しているのが普通です。
最終調整として仮縫い→中縫いを経て仕上げとなるため、お客様への受け渡しまでにかかる期間は2か月~3か月ほどとなります。
スーツが完成するまでの期間だけを見ると、フルオーダーはとても時間がかかるオーダーシステムだと感じるかもしれませんが、仮縫いの重要性を知ればイメージが変わるかもしれません。
フルオーダーでスーツを作る場合、なぜ仮縫いという工程があるのでしょうか?
それは、たった1回の採寸だけで完璧なフィット感を生むスーツを作れないことを職人は熟知しているからです。
つまり乱暴な言い方をすれば”仮縫い”の時点ではまだ「未完成品」なのですが、パターンオーダーやイージーオーダーのように仮縫いが無いオーダーシステムでは再調整の工程が無いままに受け渡しとなってしまうのです。
せっかくオーダースーツを作ったのにフィット感に満足できないという意見や感想が起きてしまうのは、最終調整の役割を担う仮縫いが無いオーダーシステムで仕立てていることが大きな原因だと言えるでしょう。
安いオーダースーツのメリットとは?
受け渡しまでの時間や価格が高くなってしまうというデメリットはあるものの、オーダースーツに最高の着心地を求めるなら仮縫い付のフルオーダーが最適であることは疑いようのない事実です。
しかしすべてのスーツをフルオーダーで仕立てるべきか?となると、必ずしもそうとは限りません。
予算の問題も当然ありますし、安価な生地を使った安いスーツまでフルオーダー・・というのはやり過ぎです。
例えばユニクロなどで展開しているカスタムオーダースーツなどは、丈や袖の調整のみというシンプルさである代わりに、最短5日での受け渡しが可能というメリットがあります。
急ぎでスーツを購入したいけど既製品のサイズがどうしても体型に合わないという人は、安いオーダーシステムを利用するのも良いでしょう。
逆に、テーラーとしては是非ともフルオーダーを検討して欲しいケースなどもありますので次項で詳しく解説していきます。
高級ブランドこそオーダースーツで仕立てたい!
ポリエステル素材などの化学繊維を使ったスーツをフルオーダーで作る人はほとんどいません。
しかし天然素材を原料とした高級生地が使われるハイブランドのスーツを仕立てるときは、価格だけでオーダーシステムを決めてしまうと後悔する恐れがあります。
奮発して高級スーツを仕立てるときこそ、仮縫い付のフルオーダーを検討するべきなのです。
スーツの着こなしはフィット感で決まる
高級スーツブランドと聞いて、皆さんは何をイメージするでしょうか。
当店が取り扱うZegna(ゼニア)はもちろん、アルマーニやダンヒルなどを思い浮かべるかもしれません。
恐らくほとんどの人が”海外ブランド”を頭に描いたと思いますが、スーツをかっこよく着こなす上で重要な要素がフィット感です。
ここで思い出してほしいのが、イージーオーダーとフルオーダーの違いです。
海外のハイブランドは、基本的に日本人の体型を想定して型紙を作っている訳ではありません。
しかしイージーオーダーはロングメジャー方式なので、主要な部位の採寸・調整しか行えないということになります。
元々は海外の男性を想定されていることも踏まえると、平面(2次元)での調整では限界があるため立体的(3次元)での細かい調整が必要不可欠なのです。
袖や丈など長さを合わせるだけならパターンオーダーでもある程度は対応可能ですが、最高品質のスーツを最上級の着心地で仕立てるならフルオーダーで仕立てることを強くおすすめします。
仕立て直しにも限界がある!
ハイブランドでスーツを仕立てる場合、数十万円という決して安くない金額がかかります。
仮縫いという”保険”も無しにイージーオーダーやパターンオーダーでスーツを仕立てて、もしも仕上がりに満足がいかなかった場合は非常に大きな問題となります。
裾や袖の長さが気に入らないなどの問題なら”お直し”で簡単に解決しますが、前述したような立体的(3次元的)な着心地の違和感は完璧に仕立て直すことは至難です。
仮縫いという工程があれば、実際に着用している本人にしか判らない着心地の悪さや違和感を再調整することが可能です。
コスパを考えれば高級ブランドこそ仮縫い付フルオーダーが最善!
簡単な仕立て直しなら無償や低料金で請け負ってくれますが、完成したスーツの直しには限界が必ずあります。
短くする・詰めるという作業は簡単ですが、広げる・大きくするという作業は”縫いしろ”が許す範囲で行うしかありません。
一時的な出費だけでみると仮縫い付フルオーダーは高いと思ってしまいがちですが、完璧な仕上がりと着心地のスーツが約束されていることを考えれば最もコスパが良い選択なのです。
安くて早いスーツを希望する場合や、多少フィット感が落ちても良いスーツならパターンオーダーやイージーオーダーでコストを抑えるのも良いですが、【絶対に失敗したくない1着】を作るときは仮縫い付フルオーダーを強くおすすめします。
オーダースーツの値段と相場の比較
オーダースーツの値段を決定する要素は
- オーダーシステムの違い
- スーツのブランド
- 使用する生地
- オプションの有無
となっていて、各要素の組合せ次第で激安になったり超高額になったりします。
オーダーシステムの違いだけでも下表のように、価格相場のベースが大きく異なります。
パターンオーダー | イージーオーダー | フルオーダー | |
---|---|---|---|
一般的な価格相場 | 2万円~5万円 | 5万円~20万円 | 15万円~ |
システムに加えて、スーツのブランドや素材として使用する生地、さらには自分好みにカスタマイズするためのオプションによって値段は変動するのです。
激安オーダースーツの場合、パターンオーダー×化学繊維の生地×オプション無しという組み合わせになりがちなので、着心地や品質という点では多少の見劣りは覚悟する必要があります。
もちろん普段使いで1着をヘビロテすることが前提だったり、スーツを着て活動的な仕事をしている方なら、激安オーダースーツを選んだ方がコスパが良いと感じることもあるので、一概に安いオーダースーツがダメとは言えません。
例えば高級ブランドでオーダースーツを仕立てようとすれば、平均相場は安くても10万円~となります。
品質面やフィット感では値段相応の満足感が得られますが、タフな着用環境を1着でヘビーローテーションしてしまえば、高級スーツと言えども長持ちはしないからです。
高級ブランドのスーツを普段使いしたいのであれば、同じ店舗で2着~3着を仕立てるのがおすすめです。
イージーオーダーやフルオーダーでスーツを仕立てる場合でも、2着目以降はすでに作成した”自分専用の型紙”が使えるので費用を大幅に抑えて作ることが可能なので高コスパだといえるでしょう。
オーダースーツの値段について解説した記事もありますので、ぜひ参考にしてください。
テーラー厳選!年代別におすすめのオーダースーツ
オーダースーツを仕立てるときに、費用やブランドなどは事前にしっかりと調べる人がほとんどです。
しかし、自分の年齢や立場などを踏まえたスーツ選びは意外と自分だけではできない人が多いもの。
もちろん、こうした「年代に合わせたスーツ選び」や「立場や着用シーンに適切なスーツ選び」は、カウンセリングでテーラー店員がしっかりとアドバイスしてくれるのですが、自分自身で予め知っておくことは大切です。
特に初めてオーダースーツを注文する人の場合、テーラー店員にお任せしたあとで「イメージと違う」と後悔するケースが少なくありません。
自分の年齢や立場なら、どんなタイプや色のスーツが適切なのか。
こうした情報を予め知っていて、自分なりに仕立てるスーツのイメージを固めた上でテーラーへ足を運ぶと、カウンセリングをするテーラー店員もより具体性のあるアドバイスがし易くなるものです。
例えば20代~30代前半の方であれば
- スリーピーススーツは避けた方が無難
- 上司など目上の人より高級に見えないような選び方
- トレンドを取り入れるべきか否か
上記は一例ですが、若いからこそオーダースーツを作る際は気を配りたいポイントなどが存在します。
逆に50代以上のエグゼクティブ層などであれば
- 着用するシチュエーションを具体的にイメージしたスーツ作り
- 嫌味にならず高級感を保てるような仕立て方
- 体型をカバーできるライン選び
このように若い世代とは、気を配るポイントが異ってくるのです。
信頼できる行きつけのテーラーがある方なら、全面的に店員へお任せというのも一つの選択肢ですが、自分が心から納得できるスーツ作りを目指すのであれば、自分にどんなスーツが合うのかを知っておいて損はありません。
オーダースーツにおすすめな店舗のポイントや年代別のおすすめについての記事もあるので、ぜひ参考にしてみてください。
オーダースーツは用途・目的に適したお店で注文しよう!
一口にオーダースーツと言っても、オーダーシステムの違いによって金額から仕上がりまでが全く異なります。
低予算で既製品より少し着心地が良いスーツが欲しい場合ならパターンオーダーやイージーオーダーを利用して、高級ブランドのスーツなど仕上がりにこだわりたいときは仮縫い付のフルオーダーで作るのがおすすめです。
- パターンオーダーの仕上がりは既製品とさほど変わらないが安くて早い
- イージーオーダーは仕上がり・価格のバランスは良いがシステム上細部の調整に甘さがでる
- フルオーダーは最上級の仕上がりだが、仮縫い工程があるため仕上がりまで時間がかかる
安価な生地やブランドのスーツなら、出費をなるべく抑えた購入方法を選ぶことがコスパに繋がりますが、高級ブランドや高級な生地で仕立てる場合は”直しが不必要”という点が結果的に高コスパとなります。
最高品質のスーツを仕立てる場合は、価格だけでオーダーシステムを選んで「安物買いの銭失い」となってしまわないよう慎重にお店を選ぶことが最大限の満足へと繋がるのです。
当店独自の仮縫い付フルオーダーシステムなら、高級ブランド「ゼニア」のオーダースーツを※11万円台~という超特価で仕立てることが可能となっております。(※生地:ループ、仮縫い付マシンオーダーの場合)
ゼニアのスーツを初めて仕立ててみたいという方は、お気軽にまずはお問い合わせからお待ちしております!