【トレンドと情報】ナポリ独自の縫製技法④

こんにちは。

榮屋本舗の代表・伊藤です。

本日は、

サルトリア・ピロッツィで見られる

ナポリ仕立て特有の縫製技法のなかでも、

パンツ関連のものをチョイスして解説していきましょう。

・パンツの曲げ

通常のパンツの仕立てでは、

臀部中央で生地のストライプが交差しますが、

これをあらかじめアイロンワークで曲げることにより、

よりスマートに見せることができる技術です。

 

横から見ると、S字に湾曲させて

癖がつけられているのがわかるでしょう。

 

履き心地と動きやすさを追求した結果、

生み出された技術であり、

もともとは、既に引退してしまった

アントニオ・モーラというサルトが

この技術をよく使っていました。

しかし、現在のところ

ナポリでこのパンツのアイロンワーク技術を

完全に継承しているサルトリアはありません。

 

ピロッツィもパンツの仕立ての際は、

自前で処理をするのではなく、

モーラ家に依頼をし、この技術を取り入れていますが、

残念なことに先代の持っていた技術は、

完全には再現されていないそうです……。

 

 

・前立て釦仕様&パンチェリーナ

一見すると大きな変化はないのですが、

じつはパンツの内側部分に

こだわりを施した縫製技法なんですね。

 

現代の日本の前立ては

ファスナー仕様が一般的だと思いますが、

ピロッツィの仕立てでは、

クラシカルな雰囲気が漂う釦でとめる仕様になっています。

 

さらに、

「パンチェリーナ」という仕様も施すことで、

前立てが下がるのを防止するとともに

釦にかかる力を分散させ、ディテールを保っています。

 

このパンチェリーナとは、

イタリア語で「腹巻き」の意味があり、

その形が天狗の鼻に似ているところから

日本では俗に「天狗」と呼ばれる仕様です。

 

現代のナポリでは、

この前立て釦仕様とパンチェリーナ仕様が、

パンツの仕立ての基本となっているようですね。

ナポリ仕立てのパンツは、

日本のものに慣れていると最初は違和感ありますが、

きれいな脚のラインが描き出されますよ!

……次回に続きます。

チャオ(*^-゚)/~Ciao!

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