こんにちは。
榮屋本舗の代表・伊藤です。
本日は、
サルトリア・ピロッツィで見られる
ナポリ仕立て特有の縫製技法のなかでも、
パンツ関連のものをチョイスして解説していきましょう。
・パンツの曲げ
通常のパンツの仕立てでは、
臀部中央で生地のストライプが交差しますが、
これをあらかじめアイロンワークで曲げることにより、
よりスマートに見せることができる技術です。
横から見ると、S字に湾曲させて
癖がつけられているのがわかるでしょう。
履き心地と動きやすさを追求した結果、
生み出された技術であり、
もともとは、既に引退してしまった
アントニオ・モーラというサルトが
この技術をよく使っていました。
しかし、現在のところ
ナポリでこのパンツのアイロンワーク技術を
完全に継承しているサルトリアはありません。
ピロッツィもパンツの仕立ての際は、
自前で処理をするのではなく、
モーラ家に依頼をし、この技術を取り入れていますが、
残念なことに先代の持っていた技術は、
完全には再現されていないそうです……。
・前立て釦仕様&パンチェリーナ
一見すると大きな変化はないのですが、
じつはパンツの内側部分に
こだわりを施した縫製技法なんですね。
現代の日本の前立ては
ファスナー仕様が一般的だと思いますが、
ピロッツィの仕立てでは、
クラシカルな雰囲気が漂う釦でとめる仕様になっています。
さらに、
「パンチェリーナ」という仕様も施すことで、
前立てが下がるのを防止するとともに
釦にかかる力を分散させ、ディテールを保っています。
このパンチェリーナとは、
イタリア語で「腹巻き」の意味があり、
その形が天狗の鼻に似ているところから
日本では俗に「天狗」と呼ばれる仕様です。
現代のナポリでは、
この前立て釦仕様とパンチェリーナ仕様が、
パンツの仕立ての基本となっているようですね。
ナポリ仕立てのパンツは、
日本のものに慣れていると最初は違和感ありますが、
きれいな脚のラインが描き出されますよ!
……次回に続きます。
チャオ(*^-゚)/~Ciao!