- スーツの着こなしにはどんなアイテムが必要?
- スーツにはどんな種類がありますか?
- ビジネススーツの着こなしで気を付けるべき点は?
ビジネスマンは何気なく着ているスーツですが、毎日着るものだからこそ着こなしの幅を広げたいと考えている人も多いのではでしょうか?
スーツには様々な色やデザインのものがあり、合わせるシャツやネクタイによっても印象が変わります。そのため、スーツの種類を知らないと、どんなスーツが自分に似合うのか判断できません。
スーツの色柄だけでなく、襟の形や裾の切り込みなどの細かい部分にも注目して解説していきますので、スーツの着こなしの参考にしてください。
スーツの着こなしの基本マナー
初めてスーツを買いに行ったときに必要なアイテムや着方を教えてもらった人も多いかと思いますが、スーツを着続けているうちに自己流になってしまっているかもしれません。
おさらいの意味を込めてスーツを着用するときの基本アイテムや着方のマナーについて紹介するので、自分の着こなしが間違っていないか確認してみてください。
スーツを着るときの基本アイテム
スーツを着るときに欠かせないアイテムは6つあります。
《スーツを着用するときの基本アイテム》
- スーツ
- シャツ(ワイシャツ、ドレスシャツ)
- ネクタイ
- ベルト(革製)
- 靴下
- 靴(革製)
スーツにポケットチーフを合わせることもありますが、チーフが好まれない場面もあるので基本アイテムではありません。
スーツのジャケットで隠れるからベルトはいらないのでは?と思う人がいるかもしれませんが、メンズスーツのズボンにはベルトループがついています。
カジュアルな場面以外では、ベルトループがついたズボンにはベルトを締めるのがマナーです。また、ベルトをすることでシャツがズボンからはみ出しにくくなります。
シャツのはみだしを防ぐには、スーツにサスペンダーを合わせるという着こなしもあります。ダサいと思わせないスーツとサスペンダーの着こなしについては別記事で紹介しておりますので、そちらもあわせてご覧ください。
スーツの着こなしのマナーについて
男性がスーツを着るときには細かいマナーがあります。
- スーツのボタンは通常は一番下を外す(座るときは全部外す)
- シルエットが崩れるほどポケットに物を入れない(スーツの内ポケットも必要最小限にする)
- ポケットの蓋(フラップ)は屋外では外側に出す(屋内では内側にしまう)
- スーツのインナー(肌着)は襟から出ないデザインと透けない色を選ぶ
- ベルトと靴の色を合わせる
- ネクタイはベルトにかかるくらいの長さにする
- 靴下の色は靴と同系色にする
- 座ったときに肌が見えない長さの靴下を選ぶ
毎日スーツを着ている人は何気なく着こなしていると思いますが、正しい着こなしができているか再確認してみてください。
着こなしのためにスーツの種類を知ろう
スーツの種類は大きく分けて、ボタンによる区別とセット内容によっての区別があります。スーツの種類によって似合う体形が違うので、色柄だけでなく形についても覚えておきましょう。
ボタンの列による違い
スーツは、ボタンの列によってシングルスーツとダブルスーツに分類されます。
シングルスーツはボタンが一列
シングルスーツはボタンが縦一列に並んだデザインです。スーツというとシングルスーツをイメージする人が多いのではないでしょうか。
オーソドックスなデザインなのでビジネススーツや礼服など広い場面で着用されています。
ボタンが二列になっているのがダブルスーツ
ダブルのスーツは、名前の通りボタンがダブル(二列)に並んだデザインです。前身ごろが重なっているのでシングルスーツより重厚感が出ます。
若い人がダブルのスーツを着ると生意気に見えるという年配の方もいるので、ビジネスシーンなどでは注意が必要です。
スーツはセット内容にも呼び方がある
スーツといえば単純に上下セットになったものを想像するかもしれませんが、ジャケットとズボンの他にベストがセットになったタイプもあります。
通常のスーツはツーピース
ツーピースというのは、ジャケットとズボンの2点がセットになった普通のスーツです。あまりツーピースという呼び方はしませんが、スリーピースと区別するときに呼ばれます。
ベストをプラスしたスーツがスリーピース
ジャケットとズボンにベストをプラスした3点セットがスリーピースで、三つ揃えとも呼ばれることもあります。ベストがあるため、ツーピースより多彩な着まわしが可能です。
スリーピースを着用する場合はジャケットのボタンはすべて開け、ベストのボタンは一番下を外すのが正しい着こなしになります。
襟の形によってもスーツの着こなしは変わる
スーツの襟のデザインは大きく分けて3種類あります。襟の形は相手からよく見えるのでスーツの印象を左右する重要な部分です。
ノッチドラペル
ノッチドラペルはシングルスーツで一般的に使われている襟の形になります。見かけることが多いので親しみやすく着こなしやすいデザインです。
ピークドラペル
ピークドラペルは、下側の襟が上向きにとがっている形です。ダブルのスーツに多いデザインで、ノッチドラペルよりおしゃれな着こなしになります。
ショールカラー
ショールカラーはタキシードに使われている丸みのある襟の形です。あまり一般的ではありませんがフォーマルな雰囲気になります。
着こなしのシルエットはベント(裾の切れ目)がポイント
前からは見えない部分ですが、スーツの後ろ側にはベント(裾の切れ目)があります。ベントがあることで動きやすくなり、シルエットにゆとりができるのです。
ベント(vent)は英語で通気口を意味する言葉ですが、風通しのためというよりは動きやすさやデザイン性のために付けられています。
センターベント
スーツの中央部分一か所だけに切り込みが入ったものを「センターベント」と呼びます。切り込みが一か所だけなので、裾があまり広がらずストレートなシルエットになるのが特徴です。
シルエットがすっきりする半面、太めの人は腰回りが窮屈に感じたりベントが開きすぎて生地が引っ張られたりすることもあり、標準体型~細身の人が着こなしやすいデザインです。
サイドベンツ
左右二か所に切り込みが入った形を「サイドベンツ」と呼びます。「ベント」ではなく複数形の「ベンツ(vents)」なので間違えないように気を付けてください。
二か所の切り込みがそれぞれ広がるので、幅が広い体形の人でもベンツが広がりすぎることがなく着こなしやすいデザインです。
丈が長めのジャケットの場合は、センターベンツより切り込みが多く入ったサイドベンツの方が動きやすく、シルエットがきれいになります。
ノーベント
背中に切り込みのないデザインが「ノーベント」です。丈の短いジャケットでは、切り込みを入れるとシャツが見えることがあるため切り込みを入れていないものがあります。
動きにくさはありますが、ベントが開いてシルエットが変わることがないため、フォーマルスーツなどのドレッシーなスーツはノーベントが多いです。
30代からはスーツの着こなしもワンランク上を目指そう!
30代になると、20代のときとは違ったスーツの着こなしをする必要があります。
20代では就活のときに着用したリクルートスーツをそのまま着続けてもあまり違和感を感じませんが、30代でリクルートスーツを着ていると安っぽい印象になってしまいます。
30代がスーツを着こなすポイントは
- 大人っぽい落ち着きのある色
- 高級感のある生地やデザイン
- タイトすぎないゆとりのあるシルエット
の3つです。
30代になったからといって一気にすべてのアイテムを買い換える必要はなく、20代のときに着ていたスーツでも、ネクタイやシャツとの組み合わせで30代らしい落ち着いた雰囲気を出すことができます。
年齢に合ったスーツの選び方や組み合わせについては30代のスーツの着こなしについてで詳しく紹介しておりますので、そちらも参考にしていただければと思います。
マッチョな人の着こなしはスーツのサイズ感に注意
筋肉質な人は一般の人とは体のバランスが違うため、既製品のスーツがうまく着こなせず苦手意識を持つ方も多いかと思います。
マッチョの人は既製品のスーツでは、どうしても一番大きい部分に合わせてスーツのサイズを選ぶことになってしまいますが、スーツを魅力的に着こなすにはただ大きいサイズを選べばいいわけではありません。
スーツは程よいフィット感があった方がスマートな着こなしになるため、一般的な体形でない場合はオーダースーツも候補に入れてスーツを探してみてください。
マッチョな人やぽっちゃりした人のスーツの選び方や着こなしについてはマッチョな人のスーツの着こなしについてで詳しく紹介しております。そちらも参考にしていただければと思います。
カジュアルスーツならオンでもオフでも着まわせる
ビジネススーツは普段着として着用するのは堅苦しすぎますが、カジュアルな素材やデザインを取り入れたカジュアルスーツはオンでもオフでも着用しやすいスーツです。
オフィスカジュアルを取り入れている企業も多くなってきたので、カジュアルスーツの人気は高まってきています。
カジュアルスーツとビジネススーツの違いは、
- 生地の種類
- デザイン
- 色や柄
です。
綿が多く含まれたスーツはしわになりやすくカジュアル感が強いのですが、ポリエステルやウールが混じっているものはデザインによってはオフィスカジュアルとして着用できます。
カジュアルスーツの特徴や選び方についてはカジュアルスーツの着こなしについてで詳しく紹介しております。そちらもあわせてご覧いただければと思います。
スーツの柄は大きく分けて3種類
スーツは色によって落ち着いた雰囲気になったり華やかな雰囲気になったりしますが、同じ色でも柄によって印象に違いが生まれます。
スーツの代表的な柄は
- 無地
- チェック
- ストライプ
です。それぞれの特徴について紹介していきます。
無地
無地のスーツはビジネスからフォーマルまで幅広いシーンで活躍します。柄物のシャツとも合わせやすいので着まわしやすいスーツです。
柄物のスーツはカジュアルに見えるので式典や入社式などの改まった場では無地のスーツを選んでください。
無地のスーツではシャツやネクタイなどもすべて無地にしてしまうと地味になり過ぎてしまうので、カラーシャツや柄物のシャツを取り入れたり、ネクタイの色や柄で存在感を出す着こなしを目指しましょう。
チェック
チェックのスーツは3種類の柄の中で最もおしゃれな雰囲気を出せますが、柄の大きさや色によってはかなりカジュアルな着こなしになってしまいます。
チェックのスーツを選ぶときには、イギリスの伝統柄である「グレンチェック」がおすすめです。単純な直線を交差させたチェックではなく、千鳥格子を組み合わせた柄なので高級感があります。
スーツの生地と柄の色を同系色にすると柄が目立たず着まわしやすいので、チェックのスーツに初めてチャレンジする場合は同系色のチェックで細めの線を選んでください。
ストライプ
ストライプは無地よりもスタイリッシュに見え、チェックよりも着こなしやすい柄です。ストライプのスーツも、チェックと同様に線の太さや色で印象が変わります。
極細の「ピンストライプ」や光の当たり具合でストライプが見える「シャドーストライプ」は、無地と同じ感覚でシャツやネクタイを選ぶことができるので着こなしやすいデザインです。
ブラックスーツやダークスーツはシャドーストライプを選んでおけば、結婚式のゲストなどの華やかな場面でも着用できます。
定番に飽きたらベージュスーツの着こなしにチャレンジ!
スーツといえばネイビーやダークグレーなどの暗めの色が定番ですが、どうしても他の人と似たような着こなしになってしまいます。
定番以外のカラーを取り入れるならベージュのスーツがおすすめです。
ベージュのスーツはグレーやネイビーよりも明るい印象を与えることができ、濃いめ(暗い色)から薄め(明るい色)までカラーの幅があるので好みの色味を選ぶことができます。
定番カラーのスーツとベージュの印象の違い
グレー、ネイビーなどの定番スーツは暗めの色なので「真面目」「堅苦しい」という印象を与えがちです。
ベージュは「アースカラー」と呼ばれる自然を連想させる色であるため「親しみやすさ」や「安心感」を与えることができます。
《スーツの色が与える印象》
- ネイビー リクルートスーツに多いカラーで真面目に見え、堅実さや誠実さが感じられる。
- グレー 落ち着いた知的な雰囲気がでるが、合わせるアイテムによっては地味に見えることもある。
- ブラック ブラックスーツは光沢があるものが多いのでフォーマルな雰囲気になる。
- ベージュ 温かみを感じさせるが色の濃さによっては軽い印象になってしまう。
ベージュスーツは着用場面に注意した着こなしをしよう
明るい色のベージュ―スーツはカジュアルに見えてしまうことがあるため、着用する場面には注意が必要です。
女性の場合は入社式や入学式などでベージュのスーツを着ることもありますが、男性は式典などの改まった場では着用を控えてください。
ベージュのスーツに合わせるアイテムは統一感のある色にする
スーツに合わせる靴やベルトは黒が一般的ですが、ベージュのスーツに合わせると黒が悪目立ちしてしまいます。ベージュスーツの着こなしでは、茶色系の靴やベルトを合わせてください。
靴やベルトも明るい色はカジュアルな印象が強くなるので、幅広いシーンで使用したい場合はダークブラウンを選ぶといいでしょう。
ベージュのスーツは濃い色ほど落ち着いた雰囲気になる
ベージュのスーツは濃い色(ブラウンに近い)ほどフォーマルな雰囲気になり、薄い色(白に近い)ほどカジュアルな雰囲気になります。
仕事で着用する場合は、あまり明るい色ではなくブラウンに近い濃い色のベージュが無難です。
明るい色のベージュスーツを着ると顔色も明るく見えるので、はつらつとした印象を与えたいときには明るめの色を選びましょう。春は明るめ、秋はブラウン寄りなど季節感を意識した着こなしもいいかと思います。
ベージュは着まわしやすいスーツ
ベージュスーツは様々な色と相性がいいカラーです。濃い色のシャツを着ると引き締まった印象になり、薄い色を組み合わせると柔らかい印象になります。
ビジネスの場など、落ち着いた印象に見せたいときは寒色系のシャツやネクタイを合わせるといいでしょう。
自分を強く印象付けたい場面や華やかな場に出るときは、大柄のネクタイやはっきりした色のネクタイを合わせるとインパクトのある着こなしになります。
ビジネススーツは安心感や信頼感を与える着こなしを目指そう
オフィスカジュアルを取り入れる企業も増えてきて仕事中のファッションに幅が出てきましたが、社外の人と接するときはスーツの着こなしに気を配る必要があります。
職種によってはカジュアルなアイテムがOKな場合もありますが、あくまでも「仕事中」ということを忘れないように!
ビジネススーツは相手にどう見えるか意識した着こなしにする
ビジネスの場では自己主張より相手にどう見えるかが大切です。ダークグレー、チャコールグレーなど暗めで落ち着いた色のスーツを選ぶのがおすすめです。
ネイビーのスーツもビジネス向きですが、薄い紺色はフレッシュなイメージが強いので、若い人以外が着る場合は濃い紺色を選んでください。
シャツは冷静さを感じさせる寒色系や白、ネクタイではレジメンタルタイが年代を問わず使いやすいアイテムになります。
カジュアルなアイテムは目立ちすぎないように
ビジネスシーンでは不特定多数の人と会う機会も多いので、マナーには特に気を付けましょう。職場がオフィスカジュアルでも、社外の人と会う場合にはカジュアルすぎるスタイルは控えましょう。
インナーにTシャツを着るときは柄物ではなく無地にする、柄物×柄物のコーディネートは避けるなど、ビジネスマンとして相手に信頼感を与える着こなしにしてください。
また、ノーネクタイの場合はシャツのボタンの開けすぎも要注意です。
スーツの着こなしに関するQ&A
- 仕事中にスーツのジャケットを着ないのは失礼になりますか?
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スーツの下に着用するドレスシャツはもともと下着を兼ねていたので、上着を脱いだ状態は下着と同じ扱いになります。
オフィスでの作業中は脱いでも構わないケースもありますが、人に会うときはジャケットを着るべきです。
- スーツは何着持っていればいいですか?
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毎日スーツを着る仕事の場合は、2着しか持っていないと1着が汚れた場合に着まわせなくなってしまうので、最低でも3着は必要です。
スーツの着こなしでは基本アイテムやマナーにも気を配ろう
スーツはボタンや襟などのデザインによって着たときの印象が変わります。どんなスーツが似合うのかわからないという場合は、スーツのデザインにも注目して試着してみてください。
- スーツには、シャツ・ネクタイ・ベルト・靴下・革靴を合わせるのが着こなしの基本
- スーツの種類は大きく分けてシングルスーツとダブルスーツがある
- ビジネスシーンでのスーツは相手に信頼してもらえるような着こなしを目指す
スーツを着こなすときは合わせるアイテムも大事ですが、基本が身についていないとマナー違反をしてしまうことがあります。基本マナーを抑えてスマートな着こなしをしましょう。