- フロックコートはどんな服か教えてほしい!
- モーニングコートとフロックコートの違いは?
- フロックコートを着用する場面や注意点について知りたい!
フロックコートは現代の礼装や正装と呼ばれる服の原型とも呼ばれ、19世紀~20世紀はじめにかけて使用されていた男性用フォーマルスーツの一種です。
とても歴史のあるフロックコートですが、現代においてはあまり聞き馴染みがなく、どんな服でどんなシーンに着用すれば良いのか判らないという人の方が多いかと思います。
この記事ではフロックコートについて、歴史や成り立ちから現代における着用シーンや素朴な疑問まで詳しく解説していきます。
ちなみにコートと名が付いていても、スーツの上に羽織るコートとフロックコートは別物です。
ビジネスシーンでも使えるような、スーツに合うコートを探しているという方は詳しく解説している過去記事があるのでぜひチェックしてみてください。
フロックコートは現代礼装のルーツ
冒頭でも軽く触れていますが、フロックコートは数あるフォーマルスーツ(礼装)のなかでも歴史が古く、格式も最上級に位置づけられることが多い服となっています。
そんな格式高いフロックコートの歴史や特徴について詳しく解説していきましょう。
フロックコートの歴史について
フロックコートは17世紀後半から18世紀初頭にかけて、ヨーロッパの軍服や乗馬をするときに着用するコートが紳士の礼装として普及したという説が一般的です。
19世紀中ごろになると、ダブルで腰の切りかえしを入れ、背中にはカーブの絞りがつくなど、見栄えがよい礼装としてのフロックコートが誕生します。
フロックコートが頻繁に着用されていたのは20世紀はじめ頃までだと言われており、後に登場したモーニングコートや燕尾服が主流になると、ほとんど着用されることがなくなっていきました。
現代でもフロックコート自体は残っていますが、着用するシーンはかなり限定的で一般的とは呼べないフォーマルスーツの一種ですが、その格式は高くクラシカルでエレガントな装いと評されています。
モーニングや燕尾服などの礼装については、着用ルールから着こなしまで詳しく解説した過去記事があるので気になる方はぜひチェックしてみてください。
フロックコートの特徴とは?
昼間の男性用礼装であるフロックコートは、その形状やシルエットがとても特徴的です。
現代においてフロックコートと同じ役割を果たしているモーニングコートと比較してみましょう。
フロックコートの特徴①ダブルブレスト
正式なフロックコートはダブルブレストと呼ばれる、前面に二列のボタンが並ぶデザインになっているのが特徴です。
一方、モーニングコートの場合はシングルブレスト(前面のボタンが一列で前身頃の重なりがほとんどないデザイン)が主流となっています。
ただし、現代風にアレンジされたフロックコートの場合は、シングルブレストになっていることもあるので必ずしもダブルブレストでは無い点には注意が必要です。
フロックコートの特徴②ウェストシームと背面のカーブ
フロックコートはウェスト部分の絞り込みがキツめで、そこから下へ広がるような特徴的なシルエットになっています。
また、背中に沿ったデザインでボディラインが強調されやすいのも大きな特徴です。
フロックコートの特徴③素材や色
フロックコートに使われる素材は、ウールやカシミアなど重厚感のある生地が主流となっていて、黒をベースとしたダークカラーが一般的です。
フロックコートの特徴④裾丈の長さと形状
フロックコートの場合、裾丈の長さと形状もかなり特徴的だといえます。
現代のモーニングコートやタキシードなどに代表される礼服の形状というよりも、むしろ防寒用のコートに近い形状となっているのが判ります。
実は、今では昼間の男性用礼装として主流になっているモーニングコートは別名【カット・アウェイ・フロックコート】で、乗馬をしたり動いたりするときに邪魔な前裾を斜めにカットしたのが始まりだったと言われています。
現代でフロックコートを着用するシーンとは?
フロックコートとはどんな服なのかを説明してきましたが、実際問題として現代においてフロックコートを着用する機会などあるのでしょうか?
結論から言うと、現代においてフロックコートを着用するシーンはかなり限定されるため、多くの人は袖を通す機会はほとんど無いかもしれません。
フロックコートを着用する主なシーンは結婚式
現代においてフロックコートが活躍する主な場面は結婚式だといえます。
伝統や格式を重んじる場合や、ヴィンテージを意識した結婚式を挙げる際に、新郎や父親などホスト側の男性が着用することがあります。
とはいえ、前項で紹介したような正式な形状・特徴を持つフロックコートが着用されることは稀で、一般的には現代風にアレンジされているケースがほとんどです。
レトロ風ファッションアイテムとして
高級ブランドやファッションデザイナーなどが、レトロ要素を取り入れるアイテムとしてフロックコートを現代風にアレンジすることもあります。
ビジネスシーンやスーツファッションの世界でも、クラシカルなスタイルが再注目されることは多く、フロックコートがこれからトレンドになることもあるかもしれません。
映画や舞台の衣装・小道具として
19世紀から20世紀初頭のヨーロッパを題材にした映画や舞台の衣装としてなら、現代でも本格的な形状・特徴を備えたフロックコートの着用を見ることができるかもしれません。
言い換えれば、昔ながらの本格的なフロックコートは現代では役者くらいしか着る機会が無いとも言えそうですね。
フロックコートはダサい?気になる疑問や質問まとめ
最後に、フロックコートに関するさまざまな疑問や質問をまとめて解説します。
- フロックコートってダサいですよね?需要ってあるんですか
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フロックコートの形状は確かに特徴的で、現代のファッショントレンドや感覚で見ると、ダサいと感じてしまう人がいるのは確かです。
しかしファッションやデザインの世界は特にですが、一見するとダサいと思える服やスタイルが、何かをきっかけに爆発的に流行してトレンドになることがあるのも事実です。
現代におけるフロックコートの需要ですが、実は意外にあると言えます。
もちろん、現代風にアレンジしたフロックコート風のお仕立てにはなりますが、当店でも結婚式や披露宴用としてシングルフロックコートは人気のウェアとなっています。
黒以外の色や、無地ではなくシャドーストライプにするなど、重厚感だけでなくカッコ良さを追求したフロックコートを作ることも可能です。
ダサいと決めつけてしまうよりも、アレンジや着こなしを工夫して楽しむ方がファッションの幅は広がりますよ。
- フロックコートはどんな人なら似合うのでしょうか?
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フロックコートの形状にもよりますが、クラシカルな本格的なフロックコートの場合は重厚感やエレガントさがあるので、若い人よりは中年から壮年の男性の方が似合うと言えるかもしれません。
逆に、現代風にアレンジしたフロックコートなら、むしろ若い男性の方が似合うと言えるでしょう。
フロックコートでオリジナリティを演出してみるのもおすすめ!
黒色で膝丈まである長い裾が特徴的なフロックコートですが、現在は裾がやや短いデザインやシングルブレストの物まで幅広い選択肢があります。
- 従来のフロックコートは独特なデザインが特徴的な礼服
- 現代でも格式が高いクラシカルな装いとして評価されている
- しかし、現実的には本格派のフロックコートを着る機会はほぼ無い
本文中でも紹介していますが、現代風にアレンジしたフロックコートはメンズ用のウェディングスーツとして人気です。
ありきたりなタキシードではなく、フロックコートでオリジナリティを演出して、忘れられない最高の結婚式を彩ってみてはいかがでしょうか。