- スーツのポケットについてる蓋は出すのが正解?出さないのが正解?
- 結婚式や葬式でポケットに関するマナーに違いはあるの
- スーツのポケットに物を入れるのは良くないって本当?
スーツを着る機会は人によって様々ですが、就職活動や大切な商談の場など”相手に失礼が無いように振舞う”ことが求められるシチュエーションは着こなしやマナーに気を使うものです。
スーツ着用時のマナーには色々ありますが、今回はスーツのポケットに関するマナーをTPOごとに詳しく解説します。
他にもスーツを長持ちさせるために役立つポケットの上手な使い方や、ポケットが破れたときの対処法についても触れていますので、スーツを日常的に着ている方は特に必見です。
また、恥ずかしくて苦手という人が多いポケットチーフについても、別記事で詳しく解説していますので興味がある方は合わせて読んでみてください。
スーツのポケットに関するマナー解説!日常編
まずは日常的なシチュエーションにおけるスーツのポケットに関するマナーを解説します。
スーツのポケットは基本的には”飾り”でしかない!
スーツには多くのポケットが存在していますが、そのほとんどが”過去のなごり”で付いているだけで、装飾的な意味合いが強いと言えます。
スーツのポケットの名称と場所一覧
- 胸ポケット(ジャケットの左胸部分)
- 内ポケット(ジャケットの裏側部分)
- 腰ポケット(ジャケットの腰部分に左右2か所)
- サイドポケット(スーツパンツの横に左右2か所)
- ヒップポケット(スーツパンツの後ろ側に左右2か所)
これほど多くのポケットがあるにも関わらず、物を入れるなど実用的な使い方が良しとされているのは内ポケットだけです。
スーツの胸ポケット
スーツの胸ポケットは、鉄板などを入れて心臓を守るために使われていたと言われていて、現在の主な用途はポケットチーフを挿すためのポケットです。
正面から見たとき、顔からも近くスーツの印象を大きく左右する部分なので、アレコレと物を入れて膨らませるのは控えた方が良いでしょう。
スーツのシルエットを崩さないためにも、薄型でサイズがピッタリなスマホ程度なら入れても問題ありませんが、基本的にポケットチーフ以外は入れてはいけない場所です。
スーツの内ポケット
内ポケットは外からは見えないこともあり、小物や財布などを入れておける実用的なポケットとして使える場所です。
ただし!入れる物の重さや量には注意が必要です。
実用的なポケットだからといって、重い物を入れてしまえばスーツのシルエットを崩す原因となり、色々な物を入れてしまうと膨らんでしまい見た目も良くありません。
内ポケットに入れる物は、定期や小銭が入らないタイプの財布など、かさ張らず重くない物だけに留めた方がスマートだと言えるでしょう。
スーツの腰ポケット
物を出し入れするのに丁度よい位置にあり、容量も多いので小物を入れたくなる腰ポケットですが、基本的には何も入れない方が良いです。
元々は、乗馬で冷えた手を温めたり小銭やチケットを入れる目的で使われていた腰ポケットですが、現在では装飾として付いているだけで、物を入れてパンパンに膨らますのは見た目にも悪く敬遠されます。
どうしても物を入れたい場合は、内ポケットと同様に重さと量に注意してちょっとした小物程度に留めるようにしましょう。
スーツのサイドポケット
スーツのパンツに付いているポケットは、サイドポケットや縫い目部分にあることからシームポケットとも呼ばれます。
なるべく手荷物を増やしたくない男性なら、色々な物を入れて実用的な使い方をしたいポケットNo1だと思いますが、やはり物は入れない方がベターです。
色々な物を入れて膨らんでいる様子は不格好ですし、手や物を頻繁に出し入れすると生地を傷めたりシルエットを崩す原因になってしまいます。
スーツのヒップポケット
パンツのお尻部分にあるヒップポケットは、別名「ピスポケット」と呼ばれ、元々はピストルを挿すために使われていたそうです。
ヒップポケットも他のポケットと同様に、何か物を入れる目的で使うのは避けた方が良いと言えます。
ただでさえ、パンツのお尻部分は「座る」「立つ」という日常動作で摩擦によるダメージが大きい部位なので、物を入れてしまうと生地の痛みを助長する恐れがあります。
ハンカチなど、生地を傷めにくい物を入れる程度にしましょう。
スーツのマナーはカッコよく着こなすこと
元々は、ピストルや小物などを入れる目的で使われていたはずのポケットが、どうして現代では「物を入れない方が良い」と言われているのでしょうか。
最も大きな理由は、スーツの着用目的が現代と昔とでは大きく異なる点にあると言えるでしょう。
戦闘服としての一面を持っていた時代のスーツは、各種ポケットを実用的に使われていました。
しかし、ビジネスマンの戦闘服となった現代ではスーツが持つ意味や、求められるマナーが様変わりしたのです。
スーツの着こなしやマナーとして【相手に不快感を与えないかどうか】は、非常に大きな要素であり、カッコよく着こなすことがマナーに直結すると言っても過言ではありません。
スーツのポケットに物を入れない方が良い理由
- 一部が膨らんだり左右のバランスが崩れて美しくない
- スーツ本来のシルエットを崩してしまう
- スーツそのものを痛めてしまう
厳密に言えば、スーツのポケットに物を入れたらマナー違反!とはなりませんが、スーツを長持ちさせる意味でも、相手にスマートな印象を与える意味でも、ポケットに物を入れない方が良いのは確かです。
スーツの腰ポケットに付いている蓋とマナー
スーツのポケットに関するマナーで、正解が判りにくいのが腰ポケットに付いている蓋を出すか入れるか問題ではないでしょうか。
ポケットの蓋やポケットのベロなど、様々な呼び方をされる場所ですが正式名称は「フラップ」です。
腰ポケットに付いているフラップの役割は、屋外でスーツを着用時に雨や埃がポケット内部に侵入しないための蓋代わりとなっています。
つまり
- 屋外ではフラップは出しているのが正解
- 屋内ではフラップを入れているのが正解
このように、自分が居る場所に応じて出し入れするのが腰ポケットのフラップの正しい使い方です。
フラップを出したままでいることが、重大なマナー違反になる訳ではありませんが、就職の面談や大事な商談など屋内で失礼の無いように細心の注意を払う必要がある場では、フラップは入れておくようにしましょう。
スーツのポケットに関するマナー解説!礼服編
普段、スーツを着る機会が少ない人でも冠婚葬祭となれば礼服に身を包むことになります。
結婚式や葬式などにおけるスーツのポケットに関するマナーは社会人として覚えておきたいものです。
基本的なマナーは冠婚葬祭でも同じ!
礼服を着る場合であっても、日常編で紹介したマナーと基本的には同じように考えてOKです。
冠婚葬祭でスーツを着用するときのポケットに関するマナー
- ポケットに物を入れすぎは見栄えが悪いのでNG
- ちょっとした小物を入れるなら内ポケットへ
また、ご祝儀や香典をポケットに入れて持参する人をたまに見かけますが辞めておきましょう。
袱紗(ふくさ:お金を包む布)や、バッグなどに入れて手渡すのが正しい作法となります。
結婚式では胸ポケットにポケットチーフを挿そう!
華やかな結婚式では、スーツの胸ポケットにポケットチーフを挿して本来の使い方をしてみましょう。
目立つのが苦手で恥ずかしがり屋が多い日本人は、ポケットチーフに抵抗を示す人が少なくありませんが、結婚式のようなお祝い事なら是非トライしてみてください。
葬儀ではマナーに細心の注意を払おう
華やかな結婚式では、多少のマナー違反があっても無礼講として不問になることも多いですが、同じ冠婚葬祭でも葬儀では細心の注意を払う必要があります。
世界基準のマナーなら葬儀でもポケットチーフを挿しても問題ないのですが、日本の葬儀では好ましく思われないケースがほとんどなので控えるようにしましょう。
腰ポケットのフラップ(蓋)も、屋外では出して屋内ではしっかり入れるなど相手に非礼を感じさせないようにします。
もちろん、ポケットに物を入れて膨らませたり香典を内ポケットから出すのも控えた方が良いです。
ポケットチーフに何を入れる?マナーと入れ方について
派手で目立つことを好ましく思わない日本人の気質から、ポケットチーフを挿すことに抵抗がある人は多いですが、上手に使いこなすとワンランク上の着こなしが出来るのでおすすめです。
ポケットチーフに対して、キザなイメージを持つ人がいるかもしれませんが、実際に手を拭くために持ち歩くハンカチをさりげなく胸ポケットに挿すだけでも印象が大きく変わります。
ポケットチーフに難しいマナーは無く、入れる物も実用的なハンカチでも全く問題ありません。
もちろん、高級感を演出するポケットチーフの選び方や挿し方もありますが、入門編として綺麗に畳んだハンカチをそっと胸元から覗かせるところから始めてみるのが良いのではないでしょうか。
ポケットチーフの上手な選び方については、別記事にて詳しく解説する予定ですので公開までしばらくお待ちください。
スーツのポケットが破れた!対処法について
スーツのポケット部分に物を入れない方が良い理由として、酷使すると破れやほつれが起こりやすい部位だという点も挙げられます。
こうした破損を防ぐ意味でも、普段からポケットには物を入れない方が良いのですが、万が一ポケットが破れてしまった場合はどうすれば良いのでしょうか。
共布(ともぬの)があるなら自分で補修も可能
スーツのポケット部分が破損した場合、裁縫技術がある程度あるなら自力で補修するという対処法があります。
スーツ購入時に共布とボタンのスペアが付いてくるので、それらを利用して破れた部分を補修しましょう。
内ポケットなど目立たない場所の補修なら、少し粗くても問題ありませんが目立つ部分のポケット補修は見た目の美しさを損なわないように行う必要があります。
ポケットの具体的な補修方法については、別記事にて詳しく解説していますので参考にしながら慎重に行ってみてください。
プロに任せるのが最も安心できる
スーツのポケット部分が破損してしまった場合、最も確実な対処法はプロに任せてしまうことです。
スーツを購入したテーラーに補修をお願いしたり、クリーニング店舗の補修サービスを利用するという選択肢もあります。
特に高級ブランドのスーツは専門テーラーかハイブランド対応のクリーニング店に任せるべきです。
クリーニング店は色々ありますが、高級ブランド「エルメス」の公認店でゼニアなどのハイブランドにも対応していておすすめなのが、ハッピーケアメンテという宅配クリーニングです。
多種多様なハイブランドのメンテナンス実績を公表していて、信頼感が高く大切な高級スーツの補修も安心して任せることができます。
自分で補修するのは無理かも・・・と思ったときは、利用を検討してみてはいかがでしょうか。
スーツのポケットはスマートに使うことが重要!
せっかくスーツにポケットがあるなら、実用的に使いたいという気持ちはとても良く理解できます。
しかし基本的にスーツのポケットへ物を入れない方が、マナー面でもスーツのメンテナンス面でもメリットが多いということは覚えておきましょう。
- スーツのポケットに物を入れすぎると見栄えが悪くスーツも傷みやすくなる
- どうしても物を入れるなら内ポケットへ。重さと量を考えて入れ過ぎに注意
- 腰ポケットの蓋(フラップ)は屋外なら出す、屋内なら入れるのが正しいマナー
またスーツの胸ポケットを飾るポケットチーフについても、別記事にて詳しく解説していますのでワンランク上の着こなしを目指す方は合わせて読んでみてください。