タキシードとスーツの違いとは?形や見た目など詳しく解説!

  • タキシードとスーツの違いってあるの?
  • 蝶ネクタイをつけたらタキシードになるって本当?
  • 黒いスーツがあるけど、タキシードとして着てもいい?

タキシードとスーツの違い、あらためて考えるとよく分からない方も多いかもしれません。

フォーマルなシーンではマナーとして、また相手に敬意を示すために服装を着分ける必要がありますが、形は似ていても「タキシード」と「スーツ」は別物です。

この記事では、スーツとタキシードの違いについて解説します。

着るべきシーンの違いや形状で見分けるポイント、コーディネート例などをご紹介するので、ぜひ参考にしてください。

タキシードってそもそもどういうもの?と思った方はこちら≫タキシードとは?おしゃれな装いや基本ルールを徹底解説 でタキシードの基本を解説しているので確認してみてください。

目次

タキシードとスーツの違いとは

タキシードのイメージ
タキシードのイメージ

タキシードとスーツの違いは、おもに「形」「生地(色柄)」「格式」です

中でも「格式」は重要な違いで、正しく知るためにはフォーマルウェアの知識が必要になります。

この章では「格式」について解説します。
大人のたしなみとして、フォーマルウェアの装いと格式について覚えておきましょう。

タキシード・スーツの分類と「格」

タキシードとスーツの「格」の違いを解説する前に、スーツにも種類と「格」があるのでご紹介します。

「スーツ」と呼ばれるもので一番格が高いものはディレクターズスーツですが、日本ではブラックスーツ・ダークスーツの着用シーンが多く、よく着られています。

スクロールできます
スーツの種類特徴主な着用シーン
ディレクターズスーツ昼の準礼装
世界共通のフォーマルウェアでブラックスーツより格上
モーニングの略式で、ラウンジジャケットを着用したもの
結婚式・披露宴・
記念式典・祝賀会・
入卒園式・謝恩会など
ブラックスーツ
(ブラックフォーマルスーツ)
昼の準礼装(近年は昼夜を問わず着られることも)
日本独自のフォーマルウェア
名前の通り濃い黒色で無地のスーツ
結婚式・披露宴・
お受験・七五三・
入卒園式・謝恩会など
ファンシースーツ夜の準礼装
ツヤ・光沢のある生地で作られた華やかなスーツ
色の決まりは特にない
結婚式・披露宴・
記念式典・パーティ
ディナーショーなど
ダークスーツ
(ダークラウンジスーツ)
昼夜の略礼装
黒を含む暗い色の一般的なスーツ(ビジネススーツ)
紺色はビジネスのイメージが強く、フォーマルには不向き
結婚式・同窓会
結婚式の2次会・
七五三・宮参りなど
「スーツ」の種類

4種類のスーツと呼ばれるものを比較していますが、それぞれをどのようなシーンで着るべきかはシーン別の着分けでもくわしく解説しています。

正礼装も加えたフォーマルスーツの分類表
画像をタップすると拡大されます↑↑

燕尾服モーニングコート・タキシードの正礼装も広くとらえると『フォーマルスーツ』と呼ばれていますが、この記事でタキシードとの違いを解説するために使う「スーツ」という言葉は、ブラックスーツ・ダークスーツとして解説します。
正礼装の比較は燕尾服とタキシード、モーニングの違いを参考にしてください。

スーツは正式なフォーマルシーンには着ない

フォーマル仕様のスーツ
フォーマル仕様のスーツ(正式なフォーマルにはNG)
  • スーツ(ブラックスーツ・ダークスーツ)は、国際的に認められた正礼装ではない
  • 晩餐会や公式の式典・パーティーには着用できない場合がある

日本では【フォーマル=ブラックスーツ】という印象が強く、社会人になるとブラックスーツを1着は持つという人がとても多くなっています。

実際に、ブラックスーツは慶事・弔事に使えるため、1着持っていると困ることがないのですが、あくまでも「準礼装」であり、日本基準でしか通用しないものであることを覚えておきましょう。

海外のパーティーに参加することがあれば(多少くだけたパーティーであったとしても)どのような服装であるべきか調べてから参加しましょう。
いつもの感覚でブラックスーツを持参すると失敗することになりかねません。

フォーマルウェアはシーンによって着分けることが大切です。
その場に応じた「格」より上すぎる服装も下すぎる服装も失礼にあたりますが、悩む場合は少し格上になる服装を選びましょう。

タキシードとスーツの「見た目の違い」を解説

タキシードとスーツの見た目の違いを解説します。

ベスト・カマーバンドを着用するタキシードとの比較なので、スリーピーススーツを例に部位別にご紹介します。

タキシードとスーツは素材が違う

素材は、タキシードとスーツを語る上で大きな違いです。
正式なタキシードには色柄・素材に決まりがあり、アレンジや変更は認められません。

タキシード

  • 黒・ミッドナイトブルーの無地
  • ドスキン・バラシア・ウーステッド・モヘア・タキシードクロス

スーツ(ダークスーツ)

  • 黒・チャコールグレーなどの暗い色の無地・霜降・杉綾(ヘリンボーン)など
    (ブラックスーツは黒の無地のみ)
  • バラシア・ウーステッド・モヘアなど
タキシードの生地例
タキシードの生地例
スーツの生地例
スーツの生地例

ジャケットの違い

ジャケット形状は似ていますが、パーツごとに確認すると違いがあります。

タキシード

  • 本来はベントなし(近年はベントありも増えつつある)
  • 襟元に拝絹(ハイケン)地がつく
  • 襟の形状ピークドラペル・ショールカラーの2タイプが一般的
  • シングルブレスト・ダブルブレストのどちらでも可
  • 腰ポケットにフラップ(ふた)はつけない

スーツ(ダークスーツ)

  • 礼服はベントなしが本来のルールだが、近年はベントありが一般的
  • 襟の形状はピークドラペル・ノッチドラペルの2タイプが一般的
  • シングルブレスト・ダブルブレストのどちらでも可
【タキシード】ピークドラペル
【タキシード】ピークドラペル
【タキシード】ショールカラー
【タキシード】ショールカラー
【スーツ】ダブルブレスト
【スーツ】ダブルブレスト

ベントとは
スーツの裾に入る「切り込み部分」で、横が「サイドベンツ」・後ろが「センターベント」・切り込みなしが「ノーベント」と呼ばれている。
サイドベントは剣の出し入れ、センターベントは馬に乗るという機能性向上のためにつけられたものの名残りであり、本来礼服には機能性を求めていなかったため、ノーベントが一般的だった。
近年はタキシードでもつけることがあり、サイドベント・センターベント・ノーベントのどれでもよいとされている。

サイドベントとセンターベント
サイドベントとセンターベント

パンツ(スラックス)の違い

パンツにも違いがあります。
とくに側章は、ジャケットの拝絹と同じく正式なものには必ずつくシンボルです。

タキシード

  • 脇の縫い目には側章(ブレイド)が1本つく
  • 裾の処理はシングル(折り返しなし)
  • サスペンダーを付けるスタイルが一般的

スーツ(ダークスーツ)

  • 裾の処理はシングル・ダブルのどちらでもOK
    (ブラックスーツはシングル)
  • 腰ベルト・サスペンダー・ベルトなしのどれでもよい

カマーバンド・ベストの違い

カマーバンド・ベストのウェストコートについて解説します。
スーツはスリーピーススーツを基本として解説しますが、弔事では一般的にベストは着用しません。

タキシード

  • ジャケットと同じ生地の襟付きベストか拝絹(ハイケン)地のカマーバンドを着用する

スーツ(ダークスーツ)

  • ジャケットと同じ生地のベストか、ライトグレーなどのセレモニーベストを着用する
  • ジャケットがシングルブレストの時、ベストはシングル・ダブルのどちらでもOK
    ジャケットがダブルブレストの時のベストはシングルにする
襟付きベスト
襟付きベスト

カマーバンドとは
スラックスのウエスト部分を隠すように着用される「腹帯」のこと。
拝絹地の黒が一般的だが、くだけたシーンではカラーのカマーバンドを使うこともある。結婚式では白も人気。
カマーバンドは長さ調整ができるため、大きいサイズの人も着用しやすく、涼しく過ごせるメリットがある。
装着する場合はヒダは上向きになるので注意する。

カマーバンド
カマーバンド

タキシードに蝶ネクタイ以外はNG?「着こなし」について解説

タキシードは蝶ネクタイ以外をつけることはあるのでしょうか。
正礼装であるタキシードとスーツを着分けるためには、「着こなし(コーディネート)」も重要なポイントです。

タキシードの正式な着こなしは黒い蝶ネクタイ

基本のタキシードスタイル
基本のタキシードスタイル

タキシードは正式には黒い蝶ネクタイを付けるとされており、【タキシード=ブラックタイ】とも呼ばれています。
スーツは結び下げと言われる一般的な結び方であることが多く、タキシードとは大きく雰囲気が変わります。

タキシードとスーツは、生地・形状・格のほかにも、アイテム(ポケットチーフ ・シャツなど)に何を選ぶかも重要で、コーディネートによってフォーマル度も決まります。

スクロールできます
タキシード(ディナースーツ)スーツ(ダークスーツ)
シャツ正式にはイカ胸かヒダ胸のシャツ
襟はウィングカラーかダブルカラー
白か淡い色のツヤ感のあるシャツ
プレスされたものが好ましい
ネクタイ黒の蝶ネクタイ(ボウタイ)シルバーグレーか白の無地・
  シルバーグレー×黒の柄物など
ポケットチーフ白かシルバーグレーのシルク素材夜は白かシルバーグレーのシルク
昼は白の麻など光沢のないもの
黒のエナメル(サテンもOK)
オックスフォード型・オペラパンプス
黒で光沢のあるもの
 (ハイカット・ブーツはNG)
装飾品黒を基調としたもの(黒真珠など)
スカーフ無地や柄物をつけてもよい
タキシードとスーツのアイテム比較

タキシードはカジュアルな着こなしもできる

結び下げのネクタイとタキシード
結び下げのネクタイとタキシード

正式なフォーマルスタイルのタキシードでは黒い蝶ネクタイがルールですが、カジュアルな着こなしにする場合はネクタイを変えることもあります。

  • 顔見知りが集まるような、くだけた雰囲気のパーティーではタキシードの着こなしをアレンジしてもOK
  • アレンジによって正礼装ではなくなるため、スーツとの差はあいまいになる
  • スーツも蝶ネクタイやベストを合わせてフォーマル感を演出することがある

タキシードはカジュアルダウンして着ることもあり、アイテムを工夫することでコーディネートを楽しむこともできます。

近年、結婚式やパーティーなどで特にみられる「タキシードをカジュアルダウンした着こなし」ですが、コーディネートによってはブラックスーツと同程度の格式として着ることができます。

ただし、カジュアルな着こなしを取り入れる場合は、集まる人と場の雰囲気、ドレスコードなどを確認してから検討しましょう。
くれぐれも公的な式典など、正式な場にアレンジした着こなしで参加しないよう配慮が必要です。

タキシードのアレンジ例

  • ウェストコート(ベスト・カマーバンド)をつけない
  • ウェストコートを色のあるものにする
  • ネクタイを色・柄のあるものにする(ポケットチーフと合わせる)
  • シャツを変える

新郎はスーツ?タキシード?衣装の違いや結婚式でのマナーを解説

スーツでの結婚式
スーツ+蝶ネクタイでの結婚式

新郎が結婚式でスーツかタキシードを選ぶ場合、注意するポイントを解説します。

タキシードを結婚式で着る例はとても多いのですが、近年、結婚式の小規模化・カジュアル化によって新郎であってもスーツを着用することが増えています。

結婚式の主催者は新郎新婦なので、どのようなスタイルで行うかは基本的に2人で決めてよいのですが、注意する点もあります。

結婚式の服装のポイント

  • キリスト教式など、神様の前で誓う結婚式は正装(タキシード以上)が好ましい
  • 主催者である新郎新婦の“格”が一番高くなる服装であるべき
  • 夫婦のバランスを考える
  • 時間帯を考慮した服装が好ましい
  • 基本の着こなしを知り、アレンジしすぎに注意する

ポイントを押さえておけば、スーツでもタキシードでも新郎新婦が決めてよいのですが、来賓や参列者に気を使うことも大切です。

友人の結婚パーティーに参列したときの実体験ですが、参加者が全員きちんとした格好で参加していた結婚パーティーに、新郎新婦が普段着で登場し、お色直しもしないまま終了したことがありました。
県外からも多くの友人や会社関係者が来ていたのですが「きれいな写真が撮りたかった」と大変不評でした。

結婚式は本人にとっても参列者にとっても特別な一日です。

カジュアル感の強いパーティーにする場合は、招待状・案内状にも一言添えておく工夫も大切です。

スーツでもタキシードでも(もちろんそれ以外でも)素晴らしい思い出になるようしっかり考えて服装を選びましょう。

タキシード・スーツはレンタルと購入はどちらにするべきか

タキシードはレンタルされることが多く、特に結婚式ではレンタルが主流です。

一方、スーツは購入(オーダー・セミオーダー)する方が多い傾向にあります。
結婚式などのパーティーで着る目的であっても、その後に着る機会が多いことが理由です。

これも体験談ですが、友人夫婦が結婚式に向けて「一度しか着ない服をレンタルするくらいなら普段着られるスーツをフルオーダーで購入する」と話し合い、挙式の時にそのスーツを着ていたのですが、紺色のビジネススーツではウェディングドレスに対して見劣りし、集合写真を撮っても参列者にまぎれてしまったと後悔していました。

タキシードとスーツはそもそも「格が違う」というのは知っておくべき重要なポイントです。

タキシードとスーツのおさらい
  • タキシードとスーツの違いは、おもに「形」「生地(色柄)」「格式」
  • フォーマルスーツには「格」があり、着用シーンに応じて服装が決まる
  • タキシードは「正礼装」、スーツは「準礼装」か「略礼装」
  • タキシードはカジュアルなコーディネートをする場合もある
  • 結婚式は参列者と会場に気配りができていれば、新郎はタキシードでもスーツでもOK

スーツのほうが着回ししやすいことは事実ですが、大切な記念になる一日にはぜひタキシードをご検討ください。
タキシードについてはこちら≫タキシードとは?おしゃれな装いや基本ルールを徹底解説 でご紹介しています。

フォーマルウェアはシーン・会の規模・参加者・主催者・時間帯などを考慮して決めるものであり、とくに「準礼装」「略礼装」は着こなしをアレンジすることもできるため、難しい場合があります。

状況に応じて、どの程度のフォーマルスーツを着用するか、この記事が参考になれば嬉しく思います。

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