- スーツのインナーにニットを着たら失礼にならない?
- ニットを着てみたいけど、どんなニットを合わせたらいいの?
- スーツ×ニットのコーディネートが知りたい
スーツのインナーにニットを合わせるコーディネートは、少なくとも1970年代には定着していました。
特にハイネックのニットにスーツを合わせるコーディネートは、セミフォーマルでも着用できるほどスタンダードな着こなしになっており、結論からいうと「スーツのインナーにニットを着ても失礼にはなりません」
日本でもスーツ×ニットの組み合わせは一般的でしたが、ウォームビズの広がりをきっかけにビジネスシーンでも着る人が増えてきました。
ただし、面接や大切な商談の時などには向かないので、着るべきかどうかは状況によって判断しましょう。
この記事では、ビジネスシーンで役立つスーツ×ニットの基礎知識を解説します。
冬におすすめのスーツのインナーダウンの記事もあるので参考にしてください。
スーツのインナーにニット(セーター)はアリか
スーツのインナーにニット(セーター)を着るコーディネートはアリです。
スーツ×ニットはオフィスカジュアル、ビジネスシーンのどちらとも広く受け入れられています。
ただし、どんなニットでもいいわけではありません。ニット選びのポイントをご紹介します。
ニットの種類
- ビジネススーツのインナーにはハイゲージニットが鉄則
- 起毛のない糸を使ったニットを選ぶ
ビジネスシーンでの着用なら、ツヤのあるハイゲージニットがおすすめです。
素材は、ウール(カシミアウール・メリノウールなど)の天然素材、アクリルやポリエステル系の合成繊維があります。
マナーとしてはどれを選んでもよいのですが、保温性の高いウールがおすすめです。
モヘアやアンゴラなどのふわふわ系ニットはビジネスシーンには不向きなので(ハイゲージニットにはあまりありませんが)念のため素材を確認して選びましょう。
ハイゲージニットとは
- ひと言でいうと網目が細かいニットのこと
- 目の細かい糸を密に編み込んであるので、なめらかでスッキリした印象になる
ローゲージニットとは
- ひと言でいうと網目が粗いニットのこと
- 太い糸でザックリ編んでいるので立体感があり、ニットならではの質感や模様を楽しめる
【スーツ×ニット】インナーのポイントとは
- スーツ×インナーニットは、薄手でジャストサイズのものを選ぶ
- 色はシックなもの(差し色はダークトーン)
- 形はシンプルでスタンダードなものにする
インナーにニットを着る場合は、サイズ感がとても大切です。
ニットによくある「大きめサイズ」や「厚手のニット」では、ジャケットを着た時に着ぶくれしてしまいます。
1枚で主役になるような変わった形のニットや、カラフルなニットも冬には多く販売されていますが、スーツのインナーには落ち着いた色・デザインのものを選びましょう。
色は、黒・紺・茶・グレーなどの、スーツと同系色が落ち着いた印象になりますが、コーディネートとして”差し色”を入れる方法もおすすめです。
ネクタイと合わせて差し色ニットでコーディネートすると、グッとおしゃれな印象になります。
定番カラーと差し色のニット、両方そろえておくとコーディネートの幅が広がりオススメです。
差し色のニットにはダークトーン(シックな色)の紫色や赤色を選ぶとスーツとの相性がよく、失敗が少なくなります。
スーツのインナーニット【1枚で着る】
スーツのインナーニット(メンズ)で 冬の定番となっているタートルネックやハイネックですが、最近ではVネックや丸首のニットの着こなしも人気があります。
1枚で着るニットの注意点やポイントを解説します。
タートルネックなどの【首元を隠すニット】
スーツのインナーにタートルネックニットを合わせる着こなしを、イタリアでは「ドルチェヴィータスタイル」と呼び、セミフォーマルとして長く着られてきた歴史があります。
大切な商談や、ドレスコードに「ネクタイ」とあるようなシーンではNGですが、広く着ることができます。
暖かさという機能性がありながら、多くのシーンで着用できる「冬の救世主」ともいえるタートルネックやハイネック。
そんな首元を隠すニットの着こなしポイントをご紹介します。
タートルネック
首に添って立ち上がり、顔の近くで丸いシルエットになるタートルネックはスタイリッシュで、ニット初心者にもおすすめです。
スーツのインナーにリブのあるもの(リブニット)を合わせるとカジュアルな印象になるため、シンプルなハイゲージニットを選びましょう。
顔が埋もれるようなゆったりした首まわりのもの(オフタートル)もありますが、スーツのインナーは向きません。
また、首元をあえて折らず、たるみをもたせて着る方法もありますが、カジュアルな印象になるためビジネスシーンではおすすめできません。
ハイネック
タートルネックと違い、折らずに着るハイネックはスッキリした印象になります。
ハイネックの首元の長さには決まりがなく、製品によって変わるのですが、首がかくれる長さがあればカジュアルになりすぎず、多くの場に着ていくことができます。(セミフォーマルなシーンでは判断が難しいため、やめておきましょう)
ハイネックでもリブニットが多く販売されていますが、リブのないものかリブが細かいものを選ぶとビジネスシーンに着用しやすくなります。
モックネック
流行のモックネックとは「偽の(=モック)タートルネック」という意味で、立ち上がったネックラインのものですが、ハイネックとの差はあいまいです。
一般的にはハイネックより低く、少し立ち上がったネックラインのものがモックネックとして販売されています。
タートルネック・ハイネックよりトレンド感がありますが、タートルネックのようにセミフォーマルとしては着られません。
Vネック・丸首などの【首元を見せるニット】
Vネックや丸首(クルーネック)のニットを1枚で着る着こなしは、近年人気があります。
襟なしのTシャツと同じでカジュアルな印象になるため、高級感のあるニットであっても正式な場には向きません。
オフィスカジュアルとして考えましょう。
「1枚で着る」といってもニットの下にはインナー(肌着)を着ることが一般的です。
首元が広くあいたニットの首元から、肌着や下に着た衣類が見るのは避けなければいけません。
肌を見せすぎるのもビジネス・オフィスカジュアルとして考えると不適切となります。
スーツのインナーニット【シャツと重ねて着る】
秋冬のビジネススーツにおすすめするのは、シャツの上からニットを着る「重ね着」です。
シャツ・ネクタイの上からニットを重ねると、カジュアル化する心配もなくコーディネートを楽しめます。
重ね着ニットの【首まわり】
スーツのインナーニットでメンズコーディネートを考えるとき「ネクタイをする・しない」で大きく変わってきます。
ネクタイをする場合
丸首でもVネックでも、首元の詰まったものではネクタイの納まりがよくありません。
ネクタイをしない場合
Vネックニットは、Vネックの深さ・シャツのボタン・襟先の納まり(出すか入れるか)と選択肢が多く悩まされるため、やや上級者向けです。
ハイネックやタートルネックの首元からシャツの襟を出すコーディネートもありますが、カジュアルな印象になるため、難しくなります。
重ね着にはベスト?【ニットの形】
スーツのインナーニットでメンズコーディネートを考えると、ベストが思い浮かぶ人が多いかもしれません。
ベストと長袖のニットはどちらがよいのでしょうか。
長袖
最近の定番は長袖のニットです。
ジャケットを脱いだ時も印象がよく、暖かく着ることができます。
ワイシャツがニットの下でもたつき、気になる人もいるかもしれませんが、できるだけ体のサイズに合ったニットを着用しましょう。
ベスト
ベストはサイズ感や着こなしが難しく、ジャケットを脱いだ時にスタイリッシュな印象になりにくいものです。
大きめサイズやローゲージニットは「カジュアル」や「古いイメージ」になることがあるので、ジャストサイズのハイゲージニットを選びましょう。
カーディガン
スーツのインナーにカーディガンを着るコーディネートは、やや上級者向けです。
個人的には好きな組み合わせですが、ジャケットにもボタンがあるので、ちぐはぐな印象になることがあります。
ボタンが主張しすぎないよう、ニットとボタンが同系色のものを選ぶと失敗は少なくなります。
スーツ×ニットで秋冬を過ごしやすく
防寒はもちろん、着こなしのポイントになるスーツ×ニットの組み合わせは、ウォームビズの広がりで、ますます目にすることが増えてきました。
- シンプルなハイゲージニットを選ぶ
- 差し色ニットはダークトーンにする
- タートルネックはセミフォーマルとしても着用できる
- シャツ×ネクタイには深めのVネックニットがおすすめ
- 長袖のシンプルなニットが合わせやすい
「ビジネス」でのおすすめを解説してきましたが、近年は、スーツのカジュアル化が進み、仕事以外のシーンでも着用する人は増えてきています。
多様性や自由度を認める傾向もあり、「ビジネス」と「カジュアル」の境界があいまいになりつつあります。
これから少しずつでもいいので、形式にこだわりすぎず、「おしゃれ」としてニットを取り入れたコーディネートを試してみてはいかがでしょうか。