- カマーバンドとは何?タキシードには必須なの?
- カマーバンドの付け方やマナーを知りたい!
- カマーバンドの価格や購入方法を教えて!
カマーバンドとは、主にタキシードなどの正装で身に付ける腰回りの装飾品です。
日常生活ではほとんど無縁なアイテムということもあり、付け方やマナーはもちろん価格や購入方法が判らないという人も多いのではないでしょうか。
いざ結婚式やパーティーの出席でタキシードを着るときに困らないように、この記事ではカマーバンドについて詳しく解説します。
タキシードについては、スーツとの違いや着こなしのアレンジなどを詳しく解説した記事もありますので、着用する予定がある方はあわせて目を通しておくのがおすすめです。
カマーバンドとは?まずは基本情報を解説!
冒頭でも触れているとおり、カマーバンドとはタキシードを着用するときに使う装飾品で、腰に巻いて使うアイテムです。
あまり見慣れないこともあり、カマーバンドを付けた服装の方が格式が高い正装だと勘違いをする人もいますが、実はタキシードにおける服装マナーではベストとカマーバンドのどちらでもOKとなっています。
むしろ正式なタキシードの着こなしとしては内側にベストを着用するのが本来のスタイルで、カマーバンドはベストの代用品として誕生したアイテムなのです。
カマーバンドが誕生した理由は「暑かったから」
カマーバンドが誕生した背景や歴史を知れば、タキシードの内側はベストとカマーバンドのどちらでも良い、という服装マナーに納得できるはずです。
実はカマーバンドがタキシードの装飾品として使われるようになったのは20世紀ごろからと、意外にもその歴史はそれほど長くありません。
20世紀ごろのイギリスは、各地に植民地を広げいわゆる”大英帝国”として勢力を伸ばし続けていました。
イギリス植民地の中でも最大規模で重要な役割を果たしていた地域が、【イギリス領インド帝国】(現在のインドとパキスタン)です。
主要地だったこともあり本国から多くのイギリス紳士たちが駐留し、現地で商談やパーティーを開くことになるのですが、暑すぎる気候の中で正装をしなければならないという悩みを抱えてしまいます。
「紳士として服装マナーは疎かにはできないけど、正装で過ごすには気候が暑すぎる」
そこで、現地の人々が腹に巻いていた”サッシュ”をヒントにベストを簡略化したカマーバンドが作られるように。
カマーバンドは本来タキシードの内側に着用すべきベストの代用品として誕生したからこそ、現代の服装マナー的では「どちらでも良い」となっているのです。
カマーバンドが流行して「三種の神器」の1つに
元々は暑い地域でタキシードを少しでも快適に着用するために誕生したカマーバンドですが、紳士の間で人気が高まり次第に植民地以外でも着用されるようになっていきます。
流行と共にカマーバンドはタキシードを着用するときの主要アイテムとしての地位を確立し、ついには「三種の神器」の1つに数えられるほどになったのです。
タキシードの「三種の神器」とは?
- カマーバンド
- 蝶ネクタイ(ブラックタイ)
- カフスボタンor拝絹(はいけん:光沢のある布で襟を装飾した部分のこと)
ちなみに語呂や語感が良いことから「三種の神器」として紹介されることが多い上記のアイテムですが、実はすべてが必須という訳では無いので注意しましょう。
前述の通りカマーバンドでは無くベストを着用してもOKですし、カフスボタンに関しては付けていなくてもマナー的には問題がない装飾品となっています。
カマーバンドの役割とは?実用性の高さが流行のきっかけだった
社交界におけるタキシードの重要な装飾品として定着してから、カマーバンドの役割は大きく変化しました。
暑さ対策という本来の役割で使われることはほとんど無くなり、別の役割が重要視されるようになっていったのです。
カマーバンドの役割や効果
- ベルトが不要で腰回りをスマートに魅せることができる
- 脚が長く見える効果がある
- チケットや貴重品を入れることができる
当時の上流階級は観劇や演奏会を見る機会が多く、チケットを入れておけるカマーバンドは評判が良かったようです。
脚が長く見える上に、チケット入れとして実用性も高いことからカマーバンドは大流行となり、タキシードの定番アイテムとして定着したのです。
カマーバンドの付け方と着用マナーや注意点
続いてはカマーバンドの付け方やマナーについて解説します。
カマーバンドを付けるときは、ベルトではなくサスペンダーを使用します。
サスペンダーを付ける位置に決まりはありませんが、パンツのタック(折り目)を目安に付けると良いでしょう。
なぜカマーバンドを付けるときはサスペンダーなのか
- シルエットの美しさを保つため
- ベルトに比べてパンツの位置がズレない安定感があるため
- 付ける位置が重要なカマーバンドと相性が良いため
- 逆にベルトはバックル部分が邪魔になるなど、カマーバンドとの相性が悪いため
- 単純に服装マナーとして決まっているから
パンツにサスペンダーを付けたら、その上からカマーバンドを巻きつけます。
カマーバンドを装着するときのポイントと注意点
- カマーバンドの中心をヘソに合わせて巻くのが基本
- ジャケットのボタンを締めたときの隙間(Vゾーン)から少し見える位置が理想
- カマーバンドの向きに注意!(ヒダが上向きになるのが正解)
カマーバンドの付け方自体は難しくありませんが、付ける位置と向きの上下には注意が必要です。
ジャケットのボタンを締めたときの隙間からカマーバンドが少し見える位置が理想ですが、ヘソより極端に上に付けないと見えない場合は無理に出さなくてもOKです。
ジャケットのボタン位置によってはカマーバンドが隠れてしまいますが、無理に出そうとしなくても問題ありません。
また、カマーバンドには上下があるので付けるときは注意しましょう。
チケットなどを入れるという役割があることから、カマーバンドはヒダが上向きになるのが正しい付け方となります。
カマーバンド着用時のマナーやルールについて
続いては、カマーバンドを付けているときのマナーやルールについて解説します。
①カマーバンド着用時は、基本的にジャケットを脱がない!
フォーマル度の高いベストを着用しているときはジャケットを脱いでも大丈夫ですが、カマーバンドを使っているときは基本的にジャケット着用がマナーです。
上の画像を見比べると判りますが、カマーバンドはサスペンダーとセットで使うため、ジャケットを脱いでしまうとカジュアル感が強い印象になってしまいます。
ベストの場合は、サスペンダーでパンツを留めていても隠れるため、ジャケットを脱いでもフォーマルな印象を損なう心配がありません。
特に式典や披露宴など、服装にある程度の品位が求められる場ではジャケットを脱がないように注意しましょう。
②立っているときはジャケットのボタンは締めるのがマナー
スーツのボタンについては、カマーバンドの着用時に限定した話ではなく国際的な”アンボタンマナー”に沿った基本マナーとなっています。
基本的に立っているときは「一番下のボタン以外はすべて締める」、逆に座っているときは「すべてのボタンを開ける」のが暗黙のルールです。
普段使いしているスーツの着用マナーにも適用されるルールなので、気になる方は詳しく解説している過去記事もぜひご覧になってみてください。
③カマーバンドとベストは併用しないのがルール
すでにお伝えしている通り、カマーバンドとはベスト(ウェストコート)の代わりとして着用する装飾品です。
そのため、ベストとカマーバンドは併用しないのがルールとなっています。
カマーバンドの色について
カマーバンドの色は、基本の黒だけでなくさまざまな色が存在します。
フォーマルな場であれば、ブラックタイに合わせて黒のカマーバンドを付けるのがマナーですが、パーティーや観劇など服装の自由度が高い場においては好きな色を付けても問題はありません。
一般的には蝶ネクタイとカマーバンドの色を揃えるのが良いとされていますので、黒以外を検討するときは蝶ネクタイの色にも気を配るようにしましょう。
カマーバンドの価格と購入方法について
カマーバンドを購入する場合、紳士服やシャツなどを取り扱う店舗で直接買うか、ネットショップで買う方法があります。
着用シーンが限定的で使用頻度も極端に低いアイテムなので、披露宴用など単発で使う場合なら安価な商品を探しやすいネットショップを利用するのがおすすめです。
逆に式典やパーティーに出席する機会が多い人なら、専門店で品質の良いブランド品のカマーバンドを購入するのが良いでしょう。
気になるカマーバンドの価格帯ですが、ネットショップなどで購入できるノーブランドなら2,000円~3,000円台が最安値となっています。
素材にシルク地が使われているカマーバンドになると、安くても1万円~。
高級ブランドのカマーバンドなら、2万円~5万円が相場となります。
予算や着用頻度を考慮して、自分に合った購入方法で選ぶのがおすすめです。
また、カマーバンドを購入するときはサイズ選びに注意しましょう。
カマーバンドには伸縮性のあるゴムベルトやアジャスター付で、フリーサイズとなっている商品から、S~Lなど大まかなサイズ分けがされている商品などがあります。
特に試着ができないネットでの購入をする場合は、自分の腹囲(ウェストサイズではなく腹囲を計測するのがポイント)に対応したサイズを選ぶのが失敗しないコツです。
カマーバンドって実際のところ必要なの?気になる疑問や質問まとめ
最後に「カマーバンドってぶっちゃけ必要ある?」のような、気になる疑問や質問をQ&A方式でまとめて解説します。
- カマーバンドは必要なの?
-
結論から言うと、正装のタキシード一式(ジャケット・ベスト・パンツ)が揃っているなら、カマーバンドは必要ありません。
記事内でも解説している通り、カマーバンドの方がなんとなく「格式が高い装い」と思ってしまいがちですが、ベストを着用した方が服装の格式は高くなります。
ただし例外としてドレスコードでカマーバンドの着用が求められている場合は準備する必要があります。
ブラックタイ(タキシード)にはカマーバンドを合わせるのが正解だとホスト側が勘違いしているケースも多いですが、ドレスコードとして指定されている場合に限っては準備した方が無難だと言えるでしょう。
- カマーバンドとベストはどっちがおすすめ?
-
こちらも結論から言うとベストの方がおすすめです。
前項の繰り返しになってしまいますが、タキシードにおける服装マナーとしてはベストの方が格式が高いので、ベストを持っているのにわざわざカマーバンドを購入して付ける必要性は低いと言えます。
- カマーバンドを付けるメリットは?
-
ここまでの回答で、ベストがあるならカマーバンドは不要・・・と思ってしまいがちですが、メリットもいくつか存在します。
カマーバンドのメリット
- ウェストラインが高く見えるので、日本人でも美しいシルエットでタキシードが着用できる(脚が長く見える)
- ロッカーの鍵や小物などをポケット代わりに入れておける
- 気になるお腹を隠す効果も
- ベストよりは涼しく過ごせる
スタイルが気になっている方や、小物でポケットが膨らむのが嫌な人ならカマーバンドにメリットを多く感じるのではないでしょうか。
また、高温多湿な日本の気候を考えるとカマーバンドで正装をしていても快適に過ごせる点も利点です。
ジャケットを脱いでもOKな場ならベストを着こんで上着を脱いだ方が涼しいかもしれませんが、夏場にジャケットが脱げない状況ならカマーバンドがおすすめです。
カマーバンドを賢く利用してタキシードを美しく着こなそう!
カマーバンドはタキシードの「三種の神器」にも数えられる装飾品ですが、最近の風潮では「付けなくて良い」と考える人やベストを合わせたスタイルがスタンダードになっています。
しかしカマーバンドには胴長短足と揶揄されがちな日本人の体型をカバーして、脚を長くみせたりポッコリお腹を隠してタキシードを美しく着こなす効果があります。
暑い季節にジャケットを着用せざるを得ないシーンなどでも重宝するアイテムなので、タキシードを着る場面や体型に応じて賢くベストと使い分けてみてはいかがでしょうか。
- カマーバンドはタキシードの必須アイテムでは無い(ベストの代用品)
- カマーバンドは黒を選ぶのが無難だが、着用シーンによっては好きな色でもOK
- カマーバンドの価格や品質はピンからキリまであるので用途や予算に応じて購入しよう
- カマーバンド購入時はサイズで失敗しないように注意!
着こなしの自由度が高くなり、スーツやタキシードをカジュアルダウンするコーデや個性的なファッションに挑戦しやすい時代なので、あえてベストではなくカマーバンドを着用するという選択もおすすめです。
ただし正装が求められる場面ではファッション性よりも服装マナーを重視する必要があるため、基本的なマナーやルールは順守した上で着こなしを楽しむようにしましょう!