- スーツにカビが生えていたときの対処法を知りたい!
- そもそもなぜスーツにカビが生えるの?予防策を教えて!
- スーツのカビが落とせないときは処分するしかないの?
季節の変わり目などでスーツを久し振りにクローゼットから出してみたらカビが発生していて愕然とした経験はないでしょうか?
スーツにカビが生えているのをみると驚く人も居ますが、実は保管方法や日頃のメンテナンスを怠ると、普通の衣服よりもカビ被害に遭いやすいので注意が必要です。
この記事では、大切なスーツにカビが生えてしまったときの応急処置から、カビ被害に遭わないための予防策までを詳しく解説します。
スーツにカビが生える原因とメカニズムを知ろう!
冒頭でも軽く触れましたが、スーツは通常の衣服よりもカビ被害に遭う可能性が高いと言えます。
その理由をいくつか挙げると
- 普通の服と同じように着る度に洗濯をすることができない
- 意外と汗や汚れを吸着している
- スーツの素材がカビの栄養になってしまうことも
- 長期間に渡り保管する機会が多い
上記のようにスーツは保管方法やメンテナンスに気をつけないと、カビの温床になりやすい条件が揃っているので注意が必要です。
スーツにカビが生えたときの対処法や予防策を紹介する前に、まずはなぜカビが発生するのか?そのメカニズムと要因について知っておきましょう。
カビが発生する3大要素を知ろう!
スーツにカビが生えてしまうのは、カビが繁殖する上で必要な3大要素を満たしてしまっていることが大きな原因です。
カビが繁殖する3大要素は
- 温度(25℃以上になると活性)
- 湿度(70%以上になると活性)
- 栄養素
クローゼットなどスーツを長期的に保管する場所の環境が、上記全てを満たすとカビが発生してしまいます。
裏を返せば、スーツを保管するときは3大要素のいずれかをケアするだけで、カビが生えにくい環境を整えることに繋がるのです。
スーツに発生するのは主に「白カビ」と「黒カビ」
カビにもさまざまな種類がありますが、スーツに発生するのは主に白カビか黒カビのどちらかである場合がほとんどです。
スーツ表面に綿や埃のような白い汚れが付着するのが白カビ。
スーツは暗めの色合いが多いこともあり、白カビはとても目立ち驚いてしまうものです。
白カビの特徴
- 成長速度が非常に早い
- 高温多湿を好み微細な胞子を空気中に拡散して増える
- アレルギー症状を引き起こすことも
比較的除去しやすい白カビですが、条件が整うと爆発的に増えることやアレルゲンになることを考えると厄介なカビであることに違いはありません。
そんな白カビよりも厄介だと言われているのが黒カビです。
黒カビの特徴
- 根を繊維深くへ張るため除去しづらい
- 黒い点状に発生するためスーツの色によっては気づきにくい
- 繁殖してしまうと乾燥や低温にも強い
白カビに比べて、スーツに発生してもパッと見では判りにくく目立たない黒カビですが、除去がしづらいという意味ではとても厄介なスーツカビです。
黒い点のような汚れがあり、スーツがカビ臭いようなら黒カビが発生していると考えてまず間違いないでしょう。
スーツにカビが生えたときに自宅でできる応急処置!
それでは早速、スーツにカビが生えてしまったときの対処法を紹介していきましょう。
スーツカビの落とし方や取り方は、カビの種類によって異なります。
スーツに白カビが生えたときの応急処置
スーツに白カビが発生したときは以下の順序で応急処置を行いましょう。
まずはスーツ表面の白カビを取り除きます。
スーツを手で軽くはたいたり、ブラッシングで除去しましょう。
スーツ表面の白カビを落とすときの注意点!
- 屋内ではなく屋外で行う
- 掃除機で吸い込む方法は避けた方が無難
物理的にスーツ表面に発生した白カビを落とす際は、胞子をまき散らして別の衣服に付着するのを防ぐため、屋外で行うようにしましょう。
掃除機で白カビを一気に吸い取ってしまいたくなりますが、排気口から勢いよく胞子をまき散らす恐れがあるので、使用は避けた方が無難です。
スーツ表面のカビを落としたら、次はエタノールや少し熱いと感じる程度のおしぼりで殺菌消毒をして再発を予防します。
白カビは後述する黒カビのように繊維深くまで根を張ることは無いので、殺菌消毒効果のあるエタノールやアルコール、もしくは熱めのおしぼり(40℃~50℃)でカビが発生した部分を叩くように拭きましょう。
スーツの白カビを殺菌消毒するときの注意点!
- スーツ生地を傷める恐れがあるので裏地などで試し拭きをする
- お湯とおしぼりで行うときは火傷に注意
アルコール類を使うときは、スーツの裏地で目立たない場所で色落ちなどが起きないか試してからにしましょう。
表面のカビを落とし殺菌消毒を終えたらスーツをしっかり乾燥させます。
スーツを乾燥させる方法には
- 風通しのよい場所で陰干しする(直射日光はNG)
- 当て布をしてアイロンがけをする
- ドライヤーで乾かす(近づけすぎないように注意!)
などがあります。
揮発性の高いエタノールやアルコールを使った場合は陰干しすればすぐに乾きますが、お湯やおしぼりで湿らせたときはアイロンやドライヤーを使って水分をしっかり飛ばすようにしましょう。
乾かすときにアイロンやドライヤーを使う場合は、スーツの素材に関わらず温度に気を配りましょう。
高温だと溶けたり縮んだりと、スーツ生地を傷めてしまう恐れがあるので注意が必要ですが、水分が残ってしまうと湿度が高くなりカビが再発生する原因となります。
多少時間をかけてでも、適切な温度でしっかりスーツの水分を飛ばすことが重要です。
スーツに黒カビが生えたときの応急処置
スーツに黒カビが生えてしまった場合、できる応急処置の方法は限られてきます。
取り敢えずの応急処置として、スーツ表面の黒カビをブラッシングなどで除去してみるという方法は有効です。
白カビに比べて熱やエタノールにも強い黒カビを落とすには、漂白剤(塩素系)が有効な手段ですが、スーツの生地を確実に傷めてしまうのでおすすめできません。
続いては、大切なスーツに黒カビが発生してしまったときの対処法を詳しく解説していきましょう。
しつこい黒カビが発生したスーツはクリーニング推奨!
白カビなら自力である程度対処することが可能ですが、薬剤を使わないと除去が難しい黒カビはスーツ生地を傷めずに自分で処理するのは至難の業です。
黒カビがスーツに発生したとき、考えられる主な対処法は以下の3種類です。
- 自分でカビの除去を行う
- 諦めて処分する
- クリーニングにカビ除去をお願いする
それぞれの方法について詳しくみていきましょう。
①自力でスーツの黒カビを除去してみる
1つ目の方法は、前項でも軽く触れていますが塩素系漂白剤などを使い自力で黒カビの除去を試みるという対処法です。
黒カビを除去するためには、最低でも50℃以上の熱を5秒以上加えるか、塩素系の漂白剤などの薬剤を使う方法が必要となります。
いずれの方法も、スーツ生地に負担をかけて色落ちやダメージのリスクがあるので、失敗する可能性を考慮し自己責任で行うようにしましょう。
②諦めて処分する
スーツがそもそも古く寿命が近かった場合や、買い替えを検討していた場合なら、黒カビが生えたスーツは諦めて処分するという選択肢もあります。
スーツの処分については、捨て方から廃棄以外の方法まで詳しく解説している記事があるので、ぜひ参考にしてみてください。
③プロのクリーニング店にカビ除去を依頼する
スーツに黒カビが発生してしまったときの対処法として、最も効果的な方法としておすすめしたいのがクリーニング店への依頼です。
スーツのクリーニングについて詳しく解説した過去記事でも触れていますが、オプションとしてカビの除去に対応しているお店や、高級スーツを専門に取り扱うお店などもあるため、大切なスーツをどうしても復活させたい場合は頼んでみましょう。
ただし!スーツに生えた黒カビの状態次第では、プロのクリーニング店でも綺麗に出来ないケースもあるので過度な期待はせず、まずはお店の判断を仰いでみることをおすすめします。
大切なスーツをカビから守るのは保管とメンテナンス!
ここまでお伝えした通り、スーツにカビが発生してしまうと対処は意外に大変です。
大切なスーツをカビから守る方法はただ一つ、「カビを発生させない」ようにしっかり予防することです。
スーツのカビを予防するには
- カビ発生の3大要素を意識した保管
- 節目ごとのメンテナンス
- 第4の要素を取り除く保管法
上記の方法が効果的です。
それぞれの方法について詳しく解説していきましょう。
スーツの保管は温度・湿度・栄養素を意識した環境で
カビが発生するには25℃以上の温度、70%以上の湿度、そして適度な栄養素が必要であることはすでにお伝えした通りです。
スーツをカビから守るためには、カビが発生する3要素が揃わない環境での保管を意識すると効果的です。
最も簡単に実践できると言われているのが湿度の管理で、スーツの保管は風通しがよく湿気がこもらない場所を選び、除湿剤などを活用して常に湿度を69%以下に保てばカビの発生リスクを大幅に軽減できます。
スーツを保管する部屋が生活スペースに近い場合は、快適な温度や湿度に保たれていることが多いですが、普段はあまり使わない部屋で保管するなら湿度だけでもしっかり管理してカビを予防しましょう。
日々のメンテナンスと節目のメンテナンス
カビが発生する3要素の中で、最も対策が難しいと言われているのが栄養素です。
特に衣服の場合は着用しているだけで汗や皮脂などの汚れが付着するため、完全に栄養素を断絶することは難しいといえます。
しかし着用したらブラッシングでその日の汚れを落とし、長期保管をする直前になったらクリーニングに出して節目のメンテナンスをすれば、カビの栄養素を可能な限り減らすことは可能です。
カビが発生する第4の要素は”酸素”
カビの発生には酸素も必要不可欠な要素です。
理論上、酸素が全くない環境下でカビは増殖することができません。
そのため、スーツを保管するときにハンガーにかけたまま使える圧縮袋などを利用して、真空に近づければカビの発生を抑えることが可能です。
ただし、この方法で防げるのはカビや汚れの付着のみ。
型崩れを起こしてしまう圧縮袋を利用する方法は、スーツの保管には適していないのでおすすめはしません。
どうしてもカビや汚れからスーツを守りたい場合は、スーツの預かりサービスを利した方が型崩れの心配も無く安心できると言えるでしょう。
スーツのカビに関連した疑問や質問まとめ
スーツのカビについて解説してきましたが、本文ではお伝えしきれなかった素朴な疑問や質問を回答と共にまとめて紹介します。
- 高級スーツの方が安いスーツよりカビやすいって聞いたんだけど?
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記事内でもお伝えした通り、カビが発生する上で必要不可欠な要素の1つに”栄養素”があります。
カビの栄養となるのは主にタンパク質で、高級スーツ生地に使われる天然素材(ウールなど動物の毛)が、カビの栄養源になってしまう恐れがあるのは事実です。
しかし、天然素材=カビやすいというのは間違いです。
ウールやカシミアなどの毛には、空気中の水分を取り込みニオイや汚れを落とす”自浄作用”が備わっています。
日々のメンテナンスをしっかり行っていれば、化学繊維で作られたスーツよりもはるかに汚れやニオイに強く、大切に扱っていればカビは簡単に予防できるはずです。
- カビが生えたスーツは洗濯すれば取れますか?
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まず、洗えるスーツ(ウォッシャブルスーツ)のような例外はあるものの、基本的にスーツを自宅の洗濯機で洗うのは避けた方が無難です。
その上で、カビが生えたスーツは洗濯するとどうなるかについて回答すると、白カビなら綺麗になる可能性はあるが、黒カビは落ちないという答えになります。
特に黒カビの場合、表面上は綺麗になったように見えても、繊維の奥深くに張った根は健在なので、気が付くと黒カビが発生している・・・ということも。
洗濯機でスーツをザブザブ洗うくらいなら、お湯を用意して手洗いしたほうがカビをしっかり落とせます。(型崩れや生地の痛みは避けられません)
スーツのカビは「生えさせない」が基本!発生したらプロに頼むのがおすすめ
汗や汚れを吸収する上に手軽に洗濯ができないスーツは、保管やメンテナンスを間違うだけでカビの温床になってしまうため注意が必要です。
- 白カビなら自力で対処可能だが黒カビは難しい
- スーツの黒カビはクリーニングのプロに任せてみよう
- カビを予防するスーツの保管やメンテナンスが重要!
格安スーツも高級スーツも、日々のメンテナンスや保管方法次第で、簡単にカビだらけになってしまう恐れがあります。
大切なスーツだからこそ、シーズン終わりにしっかりクリーニングに出し、適切な場所で保管をしてカビを予防しましょう!